太陽電池の市場が好調だ。調査会社の富士経済によれば,2010年度の世界市場規模は2006年度の3.7倍に膨らんで2兆7716億円に達する見通し。現在,太陽電池の主流となっているのは結晶Si型だが,Siウエハーの需給が逼迫する中で,原料にSiを使わないか,使う量の少ないタイプの太陽電池が今後,売り上げを大きく伸ばしていくと富士経済はみている。

 この調査によれば,Siを使わないCIS型太陽電池の市場規模は,2006年度の45億円に対して2010年度は4725億円と急拡大する見込みだ。主成分はCu(銅),In(インジウム),Se(セレン)。薄膜系の中では光電変換効率が高く,長期安定性が実証されているという。海外ではドイツWürth Solar GmbH & Co. KGや米Global Solar Energy, Inc.が手掛けている。日本では昭和シェルソーラーが世界最大規模の工場を建設中だ(Tech-On!関連記事1)。

 同じくSiを使わない色素増感型太陽電池は,2007年度に35億円の規模で市場が立ち上がり,2010年度には16.6倍の581億円にまで成長する見通しだ。変換効率が低いという課題があるが,製造コストが結晶系に比べて1/2~1/10程度に抑えられるという利点がある。英G24 Innovations, Ltd.が2007年度内に世界で最初に量産を始めるとみられる。国内メーカーの量産は2008年ころになる見込みだ。

 球状Si太陽電池は,2007年度に20億円の市場が形成され,2010年度には14.4倍の288億円に成長する見通し。結晶系に比べてSiの使用量を抑えられ,製造コストが削減できるのが特徴だ。参入メーカーの中で現在,量産化に最も近いとみられるのはフジプレアムで,2007年度中に量産工場が完成予定だ。同工場で1MW/月の規模で製造を開始し,順次,生産能力を増強していく計画という(Tech-On!関連記事2同3)。このほか,京セミは試作したモジュールを2005年の愛知万博に出展,京セラは関連特許を多数出願している。

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