中国の光ディスク研究機関である清華大学光盤国家研究中心(OMNERC:the Optical Memory National Engineering Research Center )は,HDTV映像を格納できる再生専用の光ディスク規格「CH-DVD」を立ち上げた(ニュース・リリース)。2007年9月7日付けでCH-DVDの普及促進団体CHDA(the China High Definition DVD Industry Assochiation)を設立し,2008年の製品投入を目指して普及活動を行う。

 Blu-ray DiscやHD DVDといった国際規格があるにも関わらずCH-DVDを立ち上げるのは,他のEVDやHVDといった独自規格と同く「中国メーカーが価格競争力を持つには,独自の知的財産を持つことが不可欠」(清華大学 光盤国家研究中心のLu Da氏)との考えからだ(Tech-On!関連記事)。2008年5月をメドに実用化するCH-DVDプレーヤーは,既存の中国独自規格であるEVDやHVDも再生可能にする計画である。中国独自方式を事実上統一させるもくろみといえそうだ。

 物理層は,HD DVDを基本として,変調方式をETM(eight to twelve modulation)からFSM(four to six modulation)に変更したもの。この物理層は,DVD Forumから「HD DVD-ROM for China Only Ver.10.0」として2007年2月に承認を受けている。容量はHD DVDと同じく単層15Gバイト,2層で30Gバイトである。既存のHD DVD製造装置の改良で製造できるとみられる。

 映像の符号化/復号化規格については,従来のMPEG-2,MPEG-4 AVC/H.264,VC-1に加え,中国独自の符号化/復号化規格「AVS」の映像規格を採用する予定である。音声についても,既存方式に加えてAVSの音声規格を採用する。既存の規格を使えるようにする場合,Blu-ray DiscやHD DVD向けのオーサリング環境を使える利点があるものの,HD DVD再生機と同等のライセンス料負担が求められることになる。HD DVD再生機と比べて一概に低コストにできるとは言えなくなる。

 インタラクティブ機能はHDiを採用せず,自主開発とする。著作権保護機能はAACSに代わり,AES128の技術を用いた独自方式を採用するという。

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