図1: 左から, 早稲田大学 理工学術院 創造理工学部総合機械工学科・ヒューマノイド研究所の高西淳夫教授,テムザック 代表取締役の高本陽一氏,マイクロソフト CTOの加治佐俊一氏。テムザックIV号機を囲んで。
図1: 左から, 早稲田大学 理工学術院 創造理工学部総合機械工学科・ヒューマノイド研究所の高西淳夫教授,テムザック 代表取締役の高本陽一氏,マイクロソフト CTOの加治佐俊一氏。テムザックIV号機を囲んで。
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 テムザック(本社・福岡)とマイクロソフトは,ロボットのソフトウエア開発の分野で提携した。今後テムザックは,米Microsoft Corp.製のロボット制御用ソフトウエア開発ツールの評価や普及活動を行なっていく。一方,マイクロソフトはテムザックに対して,ソフトウエア開発環境の提供やマーケティングの支援などを行なっていく。

 今回の提携の鍵となるのは,ロボットを制御するためのソフトウエアを開発・実行するための「Microsoft Robotics Studio」と呼ぶWindows上で動作するソフトウエア(開発ツール)だ。WindowsはLinuxと比較して,ロボット開発の分野での実績が乏しい。マイクロソフトは,今回の提携によってWindowsベースでのロボット開発を増やし,さらにWindows自体の普及拡大にもつなげていきたいという。

テムザックの強みは産学連携ネットワーク

 テムザックは,京都大学や早稲田大学など,ロボット工学分野で実績を持つ国内の約20の大学(約30の研究室)と共同研究の実績を持ち,「様々な大学で,どんなプログラミング環境があるのかを熟知している」(マイクロソフト 技術統括室 CTO補佐の楠正憲氏)という。テムザックは,こういった大学に対して,Microsoft Robotics Studioの採用を呼びかけていく。

 さらに同社には,新潟中越沖地震で使用された災害救助用ロボット「援竜」など,様々な種類のロボットを実用化してきた実績がある。今後,同社はMicrosoft Robotics Studioを用いてロボット用ソフトウエアの開発を行い,開発ツールの改良に必要な情報のフィードバックを,マイクロソフトに提供していく。

マイクロソフトは開発ツールを提供

 マイクロソフトは,Microsoft Robotics Studioに関する技術的なサポートのほか,画像認識や機械学習といったロボット用のソフトウエアに応用可能なソフトウエアをテムザックに提供していく。さらに,マイクロソフトが東京・調布市に所有する研究所「マイクロソフト イノベーションセンター」もテムザックに開放する。同研究所では,仮想空間でロボットを動かすシュミレーションなどが行なえるという。

 マーケティングの分野では,例えば展示会においてMicrosoft Robotics Studioのブースにテムザックのロボットを配置するなど,プロモーションの面で協力していくという。

  Microsoft Robotics Studioは,ビジュアル・プログラミング形式を採用していることが特徴。「音声を読み上げる」「右側の車輪を動かす」などのプログラムのコンポーネントをブロックとして視覚的に表示し,それらを並べる形でプログラミングを行なうことができる(図2)。

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図2:Microsoft Robotics Studioの操作画面。プログラムのコンポーネントをブロック化して扱える。
図2:Microsoft Robotics Studioの操作画面。プログラムのコンポーネントをブロック化して扱える。
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