IHIら,365kWの船舶用高温超電導モータの負荷試験を終了
IHIと住友電気工業,大陽日酸,ナカシマプロペラ,新潟原動機,日立製作所,福井大学,富士電機システムズで構成する産学グループは2007年9月3日,液体窒素で冷却した超電導コイルで駆動できる出力365kWの同期式モータを開発し,その負荷試験を終了したと発表した(図1,2)。同社らは2005年に超電導モータの開発に成功したことを発表して以来,船舶用での実用化に向けてモータの大型化に取り組んできた(関連記事1,関連記事2)。
IHIらは現在,この365kWの超電導モータと2006年に試作した50kWの超電導モータを並列に連結し,船舶用の2重反転プロペラとして駆動可能な推進装置の組み立てを開始しているという。IHIでは2008年内に400kW級の超電導モータの市場投入を目指しており,最終的には2500kW級に大型化したいとしている。
IHIらが開発した超電導モータの特徴は,コイルの中心に「フラックスコレクタ」と呼ぶ金属製の芯(しん)を配置し,コイルが発生した磁束を金属芯に集中させることで,コイルと交差する磁束を低く抑えたこと。これにより,交流損失を低減でき,世界で初めて交流の大型超電導マグネットの開発に成功した。線材には,住友電気工業が開発した生産性の高いBi(ビスマス)系の高温超電導材を利用する。
このほか,モータの高出力化に伴い,複数のコイルに流れる電流を個別に調整できる「電流調整器」をあらたに開発した。モータを大型化する場合,1個の超電導コイルに流せる電流に上限があるため,超電導コイルを複数個使用する必要がある。その際,インバータの電圧に制約があるため,超電導コイルは直列ではなく,並列で接続している。ところが,並列に配置した超電導コイルに交流電流を流すと,各コイルに流れる電流の大きさや位相にズレが生じ,コイルの両端にだけ大電流が流れる「偏流現象」が発生するという。このため,超電導コイルに流れる電流を個々に調整可能な装置が必要になったとしている。
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