タカラトミーは,35mmフィルムを使うトイカメラ「TOLNE」(トルネ)を2007年11月29日に発売する(PDF形式の発表資料)。同社では,タカラと合併する以前のトミーが2005年にデジタル版のトイカメラ「Xiaostyle」を発売しているが,今回はいよいよトイカメラ市場に本格参入を果たす。


記事中の写真はすべて「第64回 東京インターナショナルギフト・ショー 秋2007」のブースで撮影したもの。残念ながら試作機ではなくモックアップ。仕様も詳細は検討中とのことだった。

 トイカメラとは,筐体やレンズにプラスチックを多用するなど,安価な素材,簡素な構成で製造した銀塩カメラのこと。安価なのが特徴だが,光もれやピンボケなどがあるので,一般のカメラに比べると写真の仕上がりがどうしても安定しない。日本では2000年前後から,逆にその不安定さを面白がる風潮が生まれ,規模は小さいながら一般の銀塩カメラとは別のトイカメラ市場とでも呼ぶべきものが確立している。中国製の「Holga」シリーズやロシア製の「LOMO」シリーズが代表格だ。

 タカラトミーはHolgaのマーケティングなどを手掛けたパワーショベル(東京都渋谷区)の協力の下,日本発のトイカメラを開発した。短焦点の球面プラスチック製レンズを搭載,フィルム巻き上げは手動,電源は市販の単4形乾電池1本,製造元は中国,価格は税込み3990円とトイカメラらしい製品になっている。シャッター速度は2つのモードを切り換えて使えるようにした。1つは1/250秒で固定するモード。もう1つは,シャッター・ボタンを押している間はシャッターが開き続けるフリーモードだ。


グリーン,ブラック,ブルー,ピンクの4色を用意。大きさは125×90×60mm3

 セピア調に仕上げるなどの撮影効果を生むレンズ・フィルタのほかに,フィルム装てん時にカメラ内部に装着して使う内部フィルタを同梱しているのが他社製品にはない特徴だ。フィルムの1コマと同じ大きさのプラスチック板をフィルムに直接かぶせるように装着するもので,ハートや映画用フィルム風の枠のついた写真が撮れる。プラスチック板に文字を書き込んで写すといった使い方もできる。


TOLNEで撮影した写真。左上が内部フィルタを使ってハートの枠をつけた撮影例。

 撮影フィルムに135判や120判,110判などを用いる機種が多いトイカメラだが,今回の製品は最も手に入りやすい35mmフィルムを採用している。「マニアに向けて,例えば『学校のクラスで1人だけが持っている趣味のカメラ』のような位置づけで売るのがHolgaのカメラ。TOLNEはもう少しユーザー層を広げて,クラスに3~4人が持ってくれたら。トイカメラの入門編のような位置づけで,ヴィレッジバンガードや東急ハンズといった雑貨店で売り出していきたい」(同社マーケティング統括本部)。販売目標は1年間で5万台としている。