タッチ・パネルとスキャナー機能を搭載した液晶,シャープが発売へ
シャープは,タッチ・パネルやスキャナーの機能を備えた液晶パネルを開発,2007年9月にサンプル出荷を始める。3.5型の480×320画素品である。2008年春の量産出荷を予定する。同社の「CGシリコン」技術によって,1画素当たりに一つの光センサ(フォト・ダイオード)を形成することで,こうした機能を実現した。同様の機能を備える液晶パネルとしては,東芝松下ディスプレイテクノロジーの試作例などがある(Tech-On!関連記事1,2,3)。ただし,実用化に踏み切るのは今回が初めてになりそうだ。
外光の影響を抑えた
実用化にこぎ付けることができた理由を,シャープは次のように説明する。「実用性が高まった理由は幾つかあるが,特に,外光の影響を少なくできたことが大きい」(同社 モバイル液晶事業本部 本部長の方志教和氏)。今回の液晶パネルは,パネル上に形成した光センサが,照射される光の量の変化を判別することで,タッチ・パネルやスキャナーとして機能する(BPtvの映像で見る「タッチ・パネルやスキャナーの機能を動画で紹介」)。
例えば,ガラス面に指を触れたとき,指によって遮られる外光の変化と,指で反射するバックライト光の変化を感知する。これまでは,明るい場所や暗い場所など,外光の量が異なる場合に同等の使い勝手を実現することが難しかった。今回,こうした課題を克服したとする。技術の詳細は明かさないが「特殊な構造物を設けるなどのハードウエア面,信号処理アルゴリズムの改良などのソフトウエア面,この両面の工夫によって対処した」(同社 モバイル液晶事業本部 要素技術開発センター 副所長の和田正一氏)という。
iPhoneが開発を後押し
米Apple Inc.が発売した携帯電話機「iPhone」も,今回の液晶パネルの実用化を後押ししたようだ。「iPhoneの登場によって,タッチ・パネルなどのユーザー・インタフェースに注目が集まっている。実用化するには良いタイミングだと判断し,開発を加速した」(シャープの方志氏)。シャープは2007年2月に開催された「ISSCC 2007」で,今回の液晶パネルのベースとなる技術を発表している(Tech-On!関連記事)。こうした要素技術の開発を,ここ数カ月加速したものとみられる。
「通常の液晶パネルと開口率は同等」
光センサを画素に集積したものの,これによる開口率の低下は抑えたと説明する。「開口率の数値は明かせないが,光センサを集積しない通常品とほぼ同等の値を実現した」(シャープの和田氏)。採用した設計ルールについては「一部に,現行のCGシリコンでは採用していない最先端の設計ルールを用いた」(同氏)とする。現在のCGシリコンの電子移動度については「アモルファスSiの600倍,低温多結晶Siの2〜3倍」(同氏)とした。
タッチ・パネルとスキャナーの読み取りサイクルは60Hz,スキャナは白黒256階調で読み取れる。バックライトを除いたパネルの厚みは約1mm(Tech-On!の続報)。タッチ・パネルを外付けした場合に比べて厚さを1/2程度にできることをウリに,スマートフォンや携帯電話機への搭載を目指す考えである。












