図1 容量が30lの「AX-2000」
図1 容量が30lの「AX-2000」
[画像のクリックで拡大表示]
図2 1世代目から今回の製品までの特徴をまとめた資料
図2 1世代目から今回の製品までの特徴をまとめた資料
[画像のクリックで拡大表示]

 シャープは2007年8月9日,水蒸気で加熱するオーブン「ヘルシオ」の新製品を発売することを発表した。特徴は,庫内の最低酸素濃度を従来の0.5%から0.1%に低減したことである。この結果,例えば,焼きリンゴを300g作った際に含まれるポリフェノールの残存量を,従来品の7.2mgから約25%向上して9.0mgとすることができる。「メタボリック症候群に効果があると言われるポリフェノールは酸素に触れると劣化する。庫内の最低酸素濃度を0.4%減らしたことがポリフェノールの残存量を大きく向上できた要因」(同社 電化システム事業本部 副部長兼調理システム事業部長の高橋興三氏)という。

 最低酸素濃度0.1%を実現できた理由は主に2点ある。1点目は,水蒸気の発生量を従来の毎分30ccから毎分32ccへと増やしたことである。庫内の水蒸気の量が増える分だけ酸素の量は減る。水蒸気の発生装置であるヒーターの形状を工夫した結果という。

 2点目は,庫内からの酸素漏れを防ぐシールド技術を向上したことである。まず開口部のドアに使うシール材の寸法バラつきを抑えた。さらに,筐体とドアの密着性を高めるために,筐体とドアを結合するヒンジやばねを改良したりドアの質量を増やしたりして,ドアから筐体に押しつける力を大きくした。

 特徴としてこのほか,過熱水蒸気発生装置の電力を従来の1300Wから1350Wとし,水蒸気の温度を従来の+330℃から+340℃へと高めたことがある。これによって,例えば,125gの鳥のから揚げを作る際に必要な調理時間を従来の18分から16分へと短縮できる。加えて,カロリーを従来の208kcalから203kcalへと低下できる。

 今後の製品開発の方向性として同社は,「酸素濃度を低下したり,水蒸気の温度を上げたりするということはあまり考えていない。今後は,食材に焦げ目を付けるといったように新たな機能を付与することを考えている」(同氏)という。

 価格はオープン価格だが,容量が30lの「AX-2000」で約15万円,26lの「AX-HC4」で約11万円,20lの「AX-HT4」で約9万円と推定する。2007年9月10日から販売を開始する。今回の製品で4世代目となり,4世代目の目標販売台数は30万台という。2006年9月から販売していた3世代目はこれまでに23万台売れた。

【訂正】記事掲載当初,「ポリフェノールの残存量を,従来品の7.2gから約25%向上して9.0mgとすることができる。」としていましたが,正しくは「ポリフェノールの残存量を,従来品の7.2mgから約25%向上して9.0mgとすることができる。」でした。お詫びして訂正いたします。記事は修正済みです。

この記事を中国語で読む