富士経済は,世界の主要な白物家電・小物家電の生産実績と今後の予測を発表した(PDFの発表資料)。調査は,2007年4~7月に実施したメーカーへの取材や文献調査に基づくものという。調査対象とする家電36品目を「衣住関連」「調理関連」「空調・給湯関連」「パーソナルケア関連」に分類し,日本,中国,その他アジア,北米,中南米,欧州,中東・アフリカの7地域に分けて分析した。

 対象品目の2006年における世界生産台数は14億1908万台(家庭用太陽光発電システムを除く)。そのうち,調理関連機器が最も多く,4億9048万台を占める。以下,パーソナルケア関連機器の3億5249万台,空調・給湯関連機器の3億446万台,衣住関連機器の2億7165万台と続く。市場は拡大傾向で,2011年まで対前年比4%前後で成長すると予測する。中でも,冷蔵庫や電子レンジなどの白物家電が,日本や欧米の買い替え需要や中国などでの普及率向上などにより,堅調な伸びを示しているという。コーヒー・メーカーやIHクッキング・ヒーターなどが好調に伸びていると説明する。

 地域別に見ると,調査した36品目のうち,中国での生産量が最も多い品目は29品目。衣住関連からパーソナルケア関連まで,多くの品目で生産量1位となった。一方,日本で最も生産量が多いのは,住宅用太陽光発電システムとヒートポンプ式給湯機。欧州は衣類乾燥機とモニター付きドアホン,食器洗浄乾燥機,IHクッキング・ヒーターが,北米はディスポーザーの生産量が世界1位だ。中国メーカーは外資系企業のOEM生産を脱却し,自社ブランドで中国や周辺地域での勢力を拡大していると富士経済は分析する。また,日本メーカーは上位機種のみを国内で生産,欧米メーカーは大型白物家電の生産を東欧や中南米へ,小物家電の生産を中国へ移管するという傾向が強まっているとする。

 製品分類別に見ると,2006年における衣住関連機器の中国での生産は53.7%を占めたが,2011年には55.5%に達する見込みという。ただ,洗濯機と衣類乾燥機,掃除機の3品目は,基本的に需要地で生産されており,需要地に合わせた製品が生産されている。これらの製品は,今後の市場の成長が期待されるBRICsを抱える中国やその他アジア,中南米などで生産量が増加する見通しだ。

 2006年の調理関連機器の中国での生産量は,世界全体の71.1%。2011年にはさらに増え,76.5%を生産すると予測する。コーヒー・メーカーやトースターといった小物家電は,コストダウンのために中国での生産がほとんどを占め,今後も中国への生産集中は進むという。ただ,冷蔵庫や電子レンジなどの白物家電の生産拠点は,現在中国以外にも分散しており,日本,その他アジア,北米,中南米,欧州においては,需要地で生産が行われている。

 2006年の空調・給湯関連機器の中国での生産量は78.2%だった。2011年にはさらに生産集中が進み,80.6%に達する見通し。この分野の中心製品はルームエアコンと扇風機だが,いずれも中国での生産が多数を占める。現在,その他の高機能の製品は需要地で生産されているが,今後もその傾向が続き,中・低価格製品の生産は中国やその他アジアで増加すると予測する。

 パーソナルケア関連機器の中国での生産量は2006年に市場全体の78.8%に達した。2011年には82.3%と見込む。この分野は近年競争が激化し,日本や欧米のメーカーは,コストダウンの見込める中国での生産や,中国のOEMメーカーからの製品供給で対応している。中国ではOEM生産に加えて,近年は自社ブランドの強化を図るメーカーも現れており,OEMメーカーから脱却する現象が見られるという。

 製品では,ヒートポンプ式給湯器で大幅な成長を見込む。2006年の生産台数は57万台だが,2011年には2006年比164.9%増の151万台に達すると予測する。現在は市場が日本と欧州に限定されており,規模も小さいが,両市場ともにエネルギー効率の高い温水器として,高い伸びを期待できるとする。2006年の生産量を地域別に見ると,日本が全体の54%,欧州が42%。メーカー別の生産台数は松下電器産業が首位で8万台。三菱電機,コロナ,ダイキン工業などを加えた日本のメーカーの合計生産台数は31万台。ドイツThermotechnik社は4万台という。

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