図1 業界初のBlu-ray Discビデオ・カメラを発売
図1 業界初のBlu-ray Discビデオ・カメラを発売 (画像のクリックで拡大)
図2 右がBlu-ray Disc/DVDへの記録に対応した「DZ-BD70」,左がBlu-ray Disc/DVDに加えHDDにも記録できる「DZ-BD7H」である
図2 右がBlu-ray Disc/DVDへの記録に対応した「DZ-BD70」,左がBlu-ray Disc/DVDに加えHDDにも記録できる「DZ-BD7H」である (画像のクリックで拡大)

 「日立はDVDとHDDのハイブリッド・ビデオ・カメラで革命を起こした。Blu-ray Discでもう一度革命を起こす」(日立製作所 コンシューマ事業グループ デジタルコンシューマ事業部長の由木幾夫氏)。

 日立製作所は,業界で初めてBlu-ray Disc媒体に記録できる家庭用ビデオ・カメラ2機種を発売する(ニュース・リリース)。Blu-ray Disc/DVD装置を持つ「DZ-BD70」と,同装置に加えて1.8型HDDを搭載するハイブリット機「DZ-BD7H」である。

 HDTV映像の符号化方式はMPEG-4 AVC/H.264 High Profile。画素数1920×1080のインタレース映像を,直径8cmの単層Blu-ray Disc媒体1枚(容量7.5Gバイト)に約1時間記録できる。さらに「DZ-BD7H」は,30GバイトのHDDに同等の映像を4時間収録できる。AVCHD方式による記録には対応しない。

 DZ-BD70の外形寸法は77mm×87mm×165mm。本体の重さは575g,使用時は650gである。DZ-BD7Hの外形寸法は80mm×87mm×165mm,本体の重さは630g,使用時は705g。店頭での予想価格はDZ-BD70が16万円前後,DZ-BD7Hが19万円前後である。2007年8月30日に発売する。両機の発売に合わせて,日立マクセルがBlu-ray Discの8cm媒体を発売する。予想価格はBD-Rが2500円前後,BD-REが3500円前後である。

光ヘッドや符号化LSIに工夫

 今回,日立製作所がBlu-ray Discビデオ・カメラを実現するために4つのキー部品を開発した(Tech-On!関連記事)。特に同社が開発に力を入れたとみられるのが,Blu-ray Disc対応の光ヘッドと符号化/復号化LSIである。

図3 新規に開発したビデオ・カメラ向けBlu-ray Disc/DVD小型光ヘッド
図3 新規に開発したビデオ・カメラ向けBlu-ray Disc/DVD小型光ヘッド (画像のクリックで拡大)

 新たに開発した光ヘッドは,DVDとBlu-ray Disc用の対物レンズをそれぞれ搭載する2レンズ構成を採る。同社がパソコン用装置向けに開発した2レンズ式光ヘッドの後継に当たる。

 今回,光ヘッドをビデオ・カメラに組み込むまでに小さくできたのは,青紫色レーザの収差を補正する装置を小型化できたのが大きいという。従来はステッピング・モータで収束性レンズを駆動することで収差を補正していたが,「今回は「詳細は言えないが,ステッピング・モータより小型な駆動素子でレンズを動かしている」(日立製作所)。これにより,補正装置の大きさを従来の1/5にできた。

 この光ヘッドはBlu-ray Discの2倍速記録に対応する。データ転送速度は最大72Mビット/秒と高い。撮影した映像の符号化データ速度は最大16Mビット/秒ほどなので,間欠動作させることで消費電力を抑えられるという。

図4 フレーム/フィールド予測切り替えで精細感を高める
図4 フレーム/フィールド予測切り替えで精細感を高める (画像のクリックで拡大)
図5 このほか,符号化/復号化LSIの前段にある画像処理LSIは,偽色の低減や雑音抑圧を担う
図5 このほか,符号化/復号化LSIの前段にある画像処理LSIは,偽色の低減や雑音抑圧を担う (画像のクリックで拡大)

 符号化/復号化LSIには,画像の精細感を高めるため,フレーム/フィールド予測切り替え技術を導入した。1フレームを2画面(2フィールド)に分けて表示するインタレース方式の映像を符号化する際,従来はフィールド間のみで動き予測処理を行っていたという。ただこの方式では,動きが少ない映像では符号化後にインタレース方式特有の乱れが発生する場合がある。今回同社は,動きが少ない領域についてはフレーム間で動きを予測することで,画像の乱れの圧縮を図った。

 具体的には,まず16画素×16画素のマクロ・ブロックごとに動きベクトルを検出し,動きの激しいブロックと動きが少ないブロックとを判別する。動きの激しいブロックでは,従来通りフィールド単位で符号化処理を行う。これに対して動きが少ないブロックでは,フレーム単位で符号化処理を行った。

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図6 「DZ-BD7H」を構成する各モジュール
図6 「DZ-BD7H」を構成する各モジュール (画像のクリックで拡大)
図7 展示用に筐体を半透明にした「DZ-BD70」
図7 展示用に筐体を半透明にした「DZ-BD70」 (画像のクリックで拡大)