大日本印刷は,指と手のひらの両方の生体静脈認証機能を1枚に搭載したICキャッシュ・カード「生体認証ダブル搭載ICキャッシュカード」を標準パッケージ化した(発表資料)。同カードは2006年5月に開発していたが,今回は発行処理全般を最適な仕様としてパッケージ化し,短期間かつ低コストな導入の実現を目指すもの。金融機関に向け,2007年8月上旬より提供する。

 生体認証機能を搭載したICキャッシュ・カードの発行には,全国銀行協会のICキャッシュ・カード標準アプリケーションを理解し,ICカードの種類や機能,発行用データ授受システム,発行システム,暗号鍵管理システムなど多くのことを検討,開発しなければならなかった。これらのために初期費用と最短でも1年の準備期間が必要だったという。今回の標準パッケージを利用すれば,準備期間を7カ月に,初期費用を従来の半分程度に削減することができるとしている。

 生体認証機能を2種類搭載するためには,容量が大きいICチップを内蔵したマルチ・アプリケーション・カードが必要になり,コスト・アップが課題になっていた。大日本印刷では,価格を抑えたマルチ・アプリケーション・カードとして,JAVA Card「DNP Standard-J AxV4」とMULTOS「DNP Standard-M 4.218a」を提案している。

 同パッケージに関連し,今後3年間で30億円の売り上げを見込む。今後は,ワンタイム・パスワード,貸金庫カード,モバイル・キャッシュなど機能拡張,およびデジタル・ペンと電子フォームを利用した即時発行や地域連携ポイント,電子決済の併載(FeliCaデュアル・カード)などといったサービスの向上を図っていく考え。

「生体認証ダブル搭載ICキャッシュカード」利用例
「生体認証ダブル搭載ICキャッシュカード」利用例
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