携帯電話機や携帯ゲーム機,ノート・パソコン,電動工具などの用途で確実に需要を増やしてきたLi(リチウム)イオン2次電池。さらには,電気自動車やハイブリッド車などに向けた製品の量産化も計画されており,Liイオン2次電池の話題には近年事欠かない。
 といっても明るい話だけではない。リコール対象製品が500万台以上にもなったソニー製ノート・パソコン向けLiイオン2次電池の発火・異常発熱事故が発生(Tech-On!関連記事1)。また,三洋電機やNECトーキンも携帯電話機用のLiイオン2次電池が発熱・破裂の恐れがあるとして大量の回収を行う(Tech-On!関連記事2Tech-On!関連記事3)など,その安全性に対して疑いを持つ消費者も少なくない。
 ここでは前回,有機EL材料に関して分析したのと同様に,日本において公開されている特許からLiイオン2次電池に関する各メーカーの技術競争力を分析する。上記のように事故が頻発している状況を鑑みて,特に安全技術に関する特許について重点的に分析してみた。
 分析には前回同様,PCI (Patent Competency Index)と呼ぶ独自の指標を利用する。PCIとは,公開されている特許情報をもとに,権利としての強さや,特許に対する注目度等の観点において特許を保有する企業の技術力を測るために,SBIインテクストラが独自に開発した指標だ。


●図1 Liイオン2次電池全体及びその安全技術に関する特許の出願件数推移(図はクリックすると拡大します)