Jennic社の送受信LSIを用いた各種ZigBee通信モジュール
Jennic社の送受信LSIを用いた各種ZigBee通信モジュール
[画像のクリックで拡大表示]
音楽データの伝送デモ
音楽データの伝送デモ
[画像のクリックで拡大表示]

 英Jennic Ltd.は,開催中の展示会「ワイヤレスジャパン2007」(2007年7月18~20日,東京ビッグサイト)で,センサ・ネットワークの通信仕様「ZigBee」に準拠した送受信LSIや通信モジュール各種を出展した。音楽データの伝送を実演するなど,従来のZigBeeの想定を超えた用途にも利用可能であることをアピールしている。

出力2mWで1kmの伝送が可能に

 Jennic社が出展しているのは,同社が開発したZigBeeの8mm角の送受信LSI「JN5139」を各種のモジュールやゲートウエイ機器,リモコンなどに実装したもの。利用しているアンテナは,セラミック・アンテナから,半波長ダイポール・アンテナ,他の回路と同様に基板上にプリントしたアンテナまでさまざまである。「半波長ダイポール・アンテナまたはプリント版のアンテナで,しかも障害物がない場所であれば,出力2mWで1kmの通信距離も可能」(Jennic社)。「QPSKを用いた時に,-97dBmという高い受信感度を実現することで可能になった」(同社)という。 障害物が多い場合などは,さらにパワー・アンプを利用することで出力を数mWにすることが可能であるという。

要望次第で音声伝送も

 今回,Jennic社はブースでZigBeeを用いた音楽データの伝送を実演した。米Apple Inc.の「iPod mini」に格納した音楽データをZigBee経由でスピーカーに伝送し,音楽を再生してみせた。「ZigBeeは短いデータの伝送を想定した無線仕様で,ストリーミング・データの伝送には向いているとは言えない。しかし,中にはZigBeeで音楽を送りたいと要望するユーザーがいる」(Jennic社)のが今回の実演のきっかけであるという。ADPCMという音声コーデックを用いて音楽データを転送速度32kビット/秒に圧縮して伝送する。

 無線LANやBluetoothなど電波干渉源が非常に多い環境での音質の確保には,同社が独自に実装した,伝送路の品質に応じてチャネルを切り替える機能が役立ったという。これとほぼ同じ役割を担うチャネル切り替え機能は,現在策定中のZigBeeの新仕様「ZigBee Pro」でも「frequency agility」という名前で盛り込まれることが決まっている。

この記事を中国語で読む


【お詫びと訂正】

 当初の記事では,「出力1mWで1kmの伝送が可能」としていましたが,これは出力2mWで1kmの伝送,の誤りでした。お詫びして訂正させていただきます。記事は既に修正済みです。