NTTドコモの中村氏
NTTドコモの中村氏
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SIMロックを解除した場合,他社端末で利用可能なサービスを示した。メール閲覧などが課題になるという
SIMロックを解除した場合,他社端末で利用可能なサービスを示した。メール閲覧などが課題になるという
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Super3Gサービスは2009年〜2010年開始を見込む
Super3Gサービスは2009年〜2010年開始を見込む
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 NTTドコモ 代表取締役社長の中村維夫氏は,2007年7月18日から開催中の「ワイヤレスジャパン2007」において講演し,今後の事業展開について語った。昨年のMNP(携帯電話番号ポータビリティ)開始以来,純増シェアが低迷していることに触れ,「先進的な端末やサービスの投入で巻き返していきたい」との思いを述べた。

905iで巻き返す

 先進的な機能の端末として,米Apple Inc.の「iPhone」を例に挙げた。「iPhoneを使ってみたが,大変面白い魅力的な電話機だと思う。特に操作系が特徴的だ」(中村氏)。今後Apple社のように,新しいプレイヤーが移動体通信業界にさらに参入してくるだろうとの見方を示した。「誰が競争相手かわからない時代だ。Apple社のiPhoneもその例だが,米Google社も携帯電話機を出すという話もある。携帯型ゲーム機などは,いつ電話機能を取り込んでもおかしくない」(中村氏)。その上で,「こうした状況で勝ち残っていくには,常に新しいことに挑戦していかなければならない。例えば当社の90系の携帯電話機には,先進的な機能はすべて取り込んでいく考えだ」(中村氏)とした。

 なかでも,同社が2007年末に投入予定の「905iシリーズ」への強い期待を示した。「905iでは,GSM機能を標準で載せる。これにより全世界で利用できる携帯電話機がやっと実現できる。さらにワンセグとHSDPAも標準機能になる。まさに先進的な携帯電話機になるだろう」(中村氏)。

 モバイルWiMAXサービスについては,サービスへの参入希望を明確にした。「残念ながら3G事業者はそのままではサービス開始できないことになった。しかしNTTグループとして,1/3の資本で,他事業者と組むことで是非参入したいと考えている」(中村氏)という。

ソフト・ランディングを目指す

 中村氏は,総務省のモバイルビジネス研究会の議論についても言及し,研究会の打ち出した方向性に対して,「的確に対応していきたい」(中村氏)との考えを述べた。販売奨励金に関しては「時代に合わなくなってきているというのは,我々もそう思う。何らかの見直しを検討している。お客様にある程度の負担をお願いすることで,ソフト・ランディングしたい」(中村氏)。ただし販売奨励金への変更により,端末メーカーや販売店への影響を考慮する必要があると述べた。「年間約5000万台の携帯電話端末市場が落ちていくことになるだろう。それが端末メーカーや販売店にどのような影響として出てくるのか,注意深く進めていかなければならない」(中村氏)。

 SIMロックの解除に関しては,研究会が期限として打ち出した2010年まで検討を続けていく必要があると,慎重な姿勢を見せた「我々としてはSIMロックの解除などビジネスモデルの変更により,結果的に使い勝手の悪い電話機ができるのではないかと再三申し上げてきた。SIMカードを入れ替えても,メールが利用できなくなったり,機種によってはワンセグ視聴ができないといった問題が発生してしまう。この辺りの課題解決には時間が掛かるだろう」(中村氏)。このほかMVNOには,積極的に対応していく用意があると述べた。

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