産業技術総合研究所は,「第3回太陽光発電研究センター 成果報告会」を開催した(Tech-On!関連記事)。報告会の冒頭でセンター長の近藤道雄氏が,太陽電池の製造時のエネルギーを発電によって回収するのに要する時間「エネルギー・ペイバック・タイム(EPT)」について,「古いデータに基づく誤った論説が散見される」として,独自の試算結果を公表した。

 産総研によると,EPTは多結晶Si太陽電池で2年,アモルファスSi太陽電池で1.1年,CIGS太陽電池で0.9年になるという。

 これまで過去のデータに基づいて「多結晶Si太陽電池のEPTは10年と長く,太陽電池は質の低いエネルギーであるという間違った指摘がされてきた」(近藤氏)と言う。当時は,Si材料を溶かして作った半導体ウエーハの端材を再溶融して太陽電池用にしていたために,投入エネルギーが多かった。ここ数年でそうした材料の比率は減り,ほとんどが原料Siから直接作っているため,EPTが大幅に短縮される結果となったという。このほかに,太陽電池の発電効率の向上や,太陽電池モジュールを設置する架台の簡素化などもEPTの短縮に貢献した。