図1◎東芝北九州工場長・本脇喜博氏
図1◎東芝北九州工場長・本脇喜博氏
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 東芝セミコンダクター社は、国内の車載用アナログIC市場でNo1のシェアを持つ。そのアナログICの生産拠点が、北九州市にある東芝セミコンダクター社北九州工場である。1920年に東京電気の小倉工場としてスタートした。現在、5インチ、6インチの製造ラインを持ち、アナログICとオプト・デバイスを生産する半導体工場となっている。生産数量は、アナログICが9000万個/月、オプト関連が3億個/月。同工場の工場長を務める本脇喜博氏に、車載用半導体における北九州工場の役割や今後の展開について聞いた。

 北九州工場では、どのような製品を生産しているのでしょうか。また、車載関連ICの生産比率はどの程度でしょうか。

 北九州工場が生産するデバイスは、アナログICとオプトと呼ばれる化合物系の光半導体です。生産高(金額ベース)は、アナログICと光半導体がほぼ半々です。アナログICの中で車載関連の比率は約3割です。その比率は、年々上がってきています。東芝は、日本市場における車載用アナログICでNo1のシェアを持っています。世界市場でも4位です。
 光半導体関連では、LEDの1/2程度が車載向けです。LEDは、クルマのテールランプやインスツルメント・パネルのバックライトに使われます。

 どういった分野のICの生産に注力されているのでしょうか。

 アナログICでは四つの分野に力を注いでいます。第一が車載分野、第二がRFなどの高周波回路分野、第三がマルチメディアでデジタル・テレビやDVDなどに使われるアナログ信号処理用IC、第四がプリンタやデジタル・カメラのモータを駆動するドライバです。
 車載向けでは、特にエアバッグの制御用アナログIC、カー・オーディオ用のパワーアンプICに注力しています。数量が多いのは、ドア・ウインドーの制御用アナログICやエアコンの噴出し口の制御用アナログICです。

 プロセスの開発も行っています。バイポーラとCMOS、「DMOS」(Double-Diffused MOS)を組み合わせた「BiCD」プロセスを開発しています(図2)。DMOSは2A~3Aの大電流を流せ、耐圧も40V~50Vあります。

 オプト関連でも四つの分野に注力しています。第一はアナログIC同様に車載分野になります。クルマのテールランプにLEDが使われます。第二は光の強度を検知する携帯機器類のセンサになります。第三がDVDデータを読み取るレーザー・ダイオード、第四が産業機器用のフォトカプラです。生産数量は、アナログICが9000万個/月、オプト関連が3億個/月です。

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図2◎BiCDプロセス技術。バイポーラトランジスタ(高電流駆動電流)、CMOS FET(低消費電力・高集積化)、そして高耐圧・大電流のDMOS(Double-Diffused MOS)を混載するプロセス技術。
図2◎BiCDプロセス技術。バイポーラトランジスタ(高電流駆動電流)、CMOS FET(低消費電力・高集積化)、そして高耐圧・大電流のDMOS(Double-Diffused MOS)を混載するプロセス技術。
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