音声および動画用途に向けたインド家電市場の予測
音声および動画用途に向けたインド家電市場の予測
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 米iSuppli Corp.は,インドの家電市場の今後の予測を発表した(発表資料)。2006年の音声および動画用途に向けた家電市場の出荷金額は38億9000万米ドル。今後は年平均10.0% (CAGR) で成長し,2007年には45億米ドル,2011年には65億9000万米ドルに達する見通しという。同社は,主な成長要因に可処分所得の増加による消費意欲の向上,インド国内での製造の増加,流通網の拡大などを挙げる。

 インド国内の家電市場では,テレビが主要な製品の1つだが,テレビの種類は液晶テレビやPDPテレビといった新しい技術を用いた製品が徐々に広まりつつある。インドの家電メーカーの多くは,製品分野に薄型テレビを取り入れている。薄型テレビは3000米ドル程度で販売されている。しかし,世界の他の地域では販売されなくなった白黒テレビが,インドではかなりの数量販売されるという面もある。また,貧困層の世帯に75米ドルの14型CRTテレビを,3年間で750万台無料配布するという取り組みもみられる。

 家電メーカーが,インド市場に合わせた製品をカスタマイズする動きもある。インド市場の消費者心理に関する調査をもとに,デザインなどの製品の特徴や価格を設定する企業が現れている。韓国LG Electronics Inc.は2006年に,消費者調査に基づき,21~29型のテレビを発売した。

流通網の拡大により地方での消費も拡大

 インドでは,郊外や地方での需要開拓を狙って流通網が拡大している。地方の流通網を拡大させた企業は売り上げを伸ばした。これまで地方の消費者は都会の居住者ほど製品ブランドを意識せず,品質は劣っても低価格のノンブランドの製品を求める傾向にあった。しかし昨今,地方消費者もブランドを意識して製品を選択するようになってきたとiSuppli社は分析する。家電を販売する企業が,地方において以前より高い売上高を計上するようになったことが,この変化を表わしているという。

インド国内の製造は増加傾向

 iSuppli社によれば,インド国内における製造の増加もインドの家電市場の成長の鍵となるという。これまでインドの製造業に占める電子機器製造の割合は小さかったが,この傾向は徐々に変化しつつある。インド政府は,基盤整備,税金の合理化,輸出促進地域の設定などによって,国内の製造業の発展に注力している。生産施設を持たない企業がインドEMS企業やODM企業に生産を委託する例も現れている。

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