米国版「Movie Trailers」のWWWページ。予告編へのリンクは画像中心になっている。ポスター画像とリンクなどはJavaScriptでその都度取り込む仕様になっている。
米国版「Movie Trailers」のWWWページ。予告編へのリンクは画像中心になっている。ポスター画像とリンクなどはJavaScriptでその都度取り込む仕様になっている。
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国内版「Movie Trailers」のWWWページ。WWDC 2007以前は米国もこのデザインだった。テキスト中心のデザインになっている。
国内版「Movie Trailers」のWWWページ。WWDC 2007以前は米国もこのデザインだった。テキスト中心のデザインになっている。
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 米Apple Computer, Inc.が最近,同社のWWWサイトのデザインを変更した理由の一つは,同社が2007年6月29日に米国で発売する「iPhone」の仕様と大きく関係するようだ。

 Apple社は2007年6月11日から米国で行われた同社の開発者会議「Worldwide Developers Conference 2007(WWDC 2007)」に合わせて,同社WWWサイトのいくつかのページのデザインを大幅に変更している。その一つにQuickTimeを使って映画の予告編を配信する「Movie Trailers」(リンク)がある。

 Movie Trailersは現在,予告編を公開中の映画のポスター画像をずらっと並べるデザインになっている。好みの映画のポスター画像をクリックすると,それぞれの映画の予告編を再生するページに飛ぶ。ページ右脇に配置されたランキングのリストを除くと,ページ内でテキストをクリックさせるような部分を徹底的に排除している。

 だが,WWDC 2007以前は,もっとテキストを多用したデザインを採用していた。具体的には,ポスター画像はランダムに8本分を選んで表示するだけ。ほとんどの映画の予告編再生ページへのリンクは映画タイトルを小さなサイズのテキストで表記してリンクにしていた。実は日本向けの「Movie Trailers」サイト(リンク)は現在でも従来のデザインのまま運営されており,両者を比較すると違いがはっきり分かる。

 あるMac系ソフトウエア開発者は,このデザイン変更はiPhone内蔵のWWWブラウザでこのページを表示した時の使い勝手を考慮したものだ,と推測する。iPhoneではポインティング・デバイスとしてタッチ・スクリーンを使う。iPhoneの小さな画面にリンクを小さな文字で表示すると,指でクリックするのが困難になる。こうした面を配慮して指でクリックしやすい画像中心のデザインに変更したのだ,というわけだ。

 さらに,日米のMovie Trailersサイトのソースコードを比較すると,iPhone搭載のWWWブラウザの仕様がうかがえて興味深い。旧Movie Trailersサイトではテキストで表示したリンクなどをHTMLに直接表記する比較的“軽い”コードになっている。これに対して,新しいMovie TrailersサイトはJavaScriptを多用しており,WWWサーバーからその都度,画像やリンクのデータを引き出す形になっている。一度に表示する画像の大きさや数を含めると,かなり“重い”コードと言える。こうしたページを正確,かつ快適に表示するためには,iPhone搭載のWWWブラウザにパソコン向けとほぼ同等のJavaScriptの機能と処理能力が必要になる。

 2007年6月11日に行われたWWDC 2007の基調講演で同社CEOのSteve Jobs氏は,iPhoneで映画の予告編を表示して見せたうえ,開発者に対して,iPhoneのWWWブラウザの機能は同社のパソコン用のWWWブラウザ「Safari 3.0」と同等と説明した(Tech-On!関連記事)。Apple社によるWWWページのデザイン変更はこうした発言の信憑性を裏付けていると言えそうだ。

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