携帯電話の電波が届かずに「圏外」となるのを防ぐ中継装置(レピータ)の設置や運用の制限を現在より緩和することを目指して,総務省の諮問機関である情報通信審議会が,その技術的要件案を取りまとめた。総務省はこの内容に対する意見(いわゆるパブリックコメント)の募集を始めた(発表資料)。提出期限は2007年7月18日。総務省は意見募集の結果を踏まえて,7月中にも最終報告書として取りまとめ,関係制度の改正につなげる意向だ。

 総務省が規制緩和に乗り出す背景の一つには,不法中継装置の増加がある。無線局免許を持たない不法の中継装置を勝手に設置しているのは,繁華街の飲食店など。携帯電話を使えるようにすることが,集客力につながるからだ。ただしこれらの中継装置は正規の携帯電話の無線通信に混信するなど問題が少なくない。通信事業者は,混信を引き起こさない正規の中継装置を店舗などに有償で提供している。ただし正規の中継装置は,設置場所を特定した上で個別免許を取得する必要があるほか,資格保有者による設置が義務づけられているなど,運用面の障壁が指摘されている。

 今回取りまとめた技術的要件案は,通信事業者が正規の中継装置を展開しやすくすることを狙っている。より安価な中継装置の実現や,簡便な運用にもつなげたい意向だ。現状で禁じられている利用者自身による設置や電源のオン・オフが可能になれば,利便性が上がる,今後は,家庭にも中継装置の設置が進む可能性がある。例えばソフトバンクモバイルは既に現在,「ホームアンテナ」という名称で中継装置の提供を始めている(Tech-On!の関連記事)。