米Alereon,Inc.は,3.1GHz~10.6GHzの広い周波数帯域に対応可能なUWB用送受信チップセットを開発,一部の顧客向けにサンプル供給を開始した( 発表資料)。

ハイバンドに対応

 チップセットの名称は「AL5000」。MAC/ベースバンド処理LSIの「AL5300」と,RFトランシーバICの「AL5100」の2チップで構成する。AL5100は,業界団体WiMediaが規定するUWB向けの14バンドのすべてに対応できる。WiMediaが規定した物理層は,Certified Wireless USBで利用されているほか,次世代Bluetoothで採用される予定。特に次世代Bluetoothでは,6GHz以上の高い周波数帯のみ利用される見込みであり,同周波数帯域に対応するチップセットが必要だった( Tech-On!の関連記事)。AL5100は,これら用途での利用を想定する。

 UWBが利用する周波数帯域に関しては,国や地域の違いにより規制が異なる。例えば国内では3.4GHz~4.8GHz(いわゆるローバンド)および7.25GHz~10.25GHz(いわゆるハイバンド)までをUWB向けに利用できるが,このうち3.4GHz~4.8GHzまでは他の無線サービスに対する干渉回避技術(DAA:Detect And Avoid)を具備することが求められるなど,利用に制限がある(ただし,4.2GHz~4.8GHzまでの帯域に関しては,2008年12月末日まで干渉回避技術を具備せずとも使用可能とする時限措置がとられている)。

 このためハイバンド対応のUWBチップセットの登場を待って,対応機器を製品化することを想定する機器メーカーが少なくなかった。Alereon社は,こうした機器メーカーの要求に向け,広い周波数帯に対応するチップセットとして発売するもの。ただし,チップセットのスペックの詳細や,量産出荷時期などは明らかにしていない。既に米Focus Enhancements社が7GHz付近の周波数帯にまで利用できるチップセットの出荷予定を明らかにしていた( Tech-On!の関連記事)。

 Alereon社はAL5000の評価用ボードを2007年第3四半期に出荷する計画。AL5000は,同社の前世代チップセットである「AL4000」向けに開発したソフトウエアなど設計資産を流用できるとしている。

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