「iPhone」発売は市場にどのような影響を与えるか---。米Apple Inc.の携帯電話機「iPhone」の発売を2007年6月29日に控えて,市場調査会社は消費者の反応や売れ行きについてそれぞれ調査結果や予測を発表している。Apple社初の携帯電話機として注目を集めるiPhoneだが,調査会社各社の見方は「大ヒットに至るかどうかは疑わしい」というものが大勢を占める。

機能は認めるが価格は…

 米Strategy Analytics, Inc.は,アンケート調査の結果,回答者の90%が「現在所有している携帯電話機よりもiPhoneの方が機能面で優れている」と答えたと発表した。さらに40%が「非常に優れている」と高い評価を示したとする。

 一方で,iPhoneの成功を妨げる要素があるとすれば価格設定と指摘。米IDC Corp.も同様の指摘をしており,4Gバイト品が499米ドル,8Gバイト品が599米ドルという本体価格や携帯電話事業者の切り換えにかかるコストが仇(あだ)となって爆発的な普及は見込めないとする(Tech-On!関連記事1同2)。

「2007年米国での販売台数は200万」

 iPhoneの売れ行きについて,Strategy Analytics社は2007年の米国市場で200万台と予測した。同社は2007年のスマートフォンの米国市場規模を2000万台と予測しており,Apple社が市場シェア10%を獲得するとみている。2005年に米Motorola, Inc.が投入したiTunes対応の携帯電話機「ROKR」の売り上げがStrategy Analytics社の予想を下回ったため,今回は控えめに予想したという(Tech-On!関連記事3)。ちなみに出荷台数については,全世界で2007年内に400万台との予測を米Merrill Lynch & Co., Inc.が発表している(Tech-On!関連記事4)。

 米JupiterResearch, LLCも「iPhoneは音楽機能付き携帯電話機の市場にとって成長促進剤とはならないだろう」とする。同社は,音楽機能付き携帯電話機の米国ユーザーは2007年末に2790万人に達すると予測している。ただし,実際に音楽機能を使う人の数は少ないという。同社のアンケート調査では,パソコンからの転送も含めて,携帯電話機に音楽を取り込んでいる人はわずか5%に過ぎなかった。「iPhoneの出現でいわゆる音楽ケータイへのユーザーの関心が高まり,他社製の音楽ケータイにも期待が集まる可能性はあるが,iPhoneはiPhoneという独自市場であり,他社がこれに続くのは困難」との見方を示す。

ネット検索,組み合わせ語句はやっぱり「price」

 発売を目前にして,一般消費者の関心は高まっている。米Hitwise Pty. Ltd.の調査によれば,「iphone」という語句でのインターネット検索数は過去4週間に約7倍にまで増加したという。2007年5月26日を末日とする週に対して,同6月23日を末日とする週の検索数は583%増だった。Apple社が提供するiPhoneの公式WWWサイトへの訪問数も185%増と急伸している。同社によれば,検索語句に「iphone」を含んだ検索数は,6月23日の週で米国のインターネット検索数の4.23%を占めたという。なお,「iphone」と組み合わせた検索語句で多かったのは「apple」に次いで「price」だった。

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