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セメントが超電導に!? ―― 東工大と理化研が発見

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2007/06/15 18:29
峯 里里=日経エレクトロニクス

 東京工業大学 フロンティア創造共同研究センター 教授 細野秀雄氏,理化学研究所 河野低温物理研究室 主任研究員 河野公俊氏らの研究グループは,石灰とアルミナで構成される化合物12CaO・7Al2O3(C12A7)が超電導を示すことを発見した(発表資料)。

 石灰(CaO)とアルミナ(酸化アルミニウム:Al2O3)は絶縁体として知られる。これらの複合酸化物であるC12A7も絶縁体であり,アルミナ・セメントの構成成分として使用されている。その一方で,同研究グループはこれまでに,C12A7の結晶を用いて室温・大気中で安定なエレクトライド(電子が負イオンとして振舞う化合物)を実現していた。C12A7結晶は,直径0.5nmの籠(結晶格子間の空隙間)の中に酸素イオン(O2−)を包接(化学結合に依らず空隙間に閉じ込める付加的化合)するナノ・ポーラス構造になっている。このイオンを電子で置き換えることにより,室温付近ではC12A7結晶が金属的な電導性を示すことを見出した。

 今回は,このC12A7エレクトライドが約0.4Kの低温下において,電気抵抗が0となるなどの超電導状態に転移することを発見したという。電気を通さないと信じられてきた物質でも,ナノ構造の利用によっては超電導体化することを示したとする。また,この発見はエレクトライドで初めて超電導を認めた事例であり,新しい超電導体を探す範疇が広がることが期待されるという。さらに,C12A7エレクトライドの超電導は,一般的な金属の超電導と異なり,結晶内ナノ空間(籠)の電子状態による電導帯をs電子(球状電荷分布を持つ電子)が流れることによるものである。このことから,超電導発生機構の解明に新たな知見を与える可能性もあるとした。

 なお,この研究は,文部科学省 科学研究費 学術創成研究費の助成を受け行われた。東工大からは細野氏の他,同大 応用セラミック研究所 准教授 川路 均氏が同研究に参加している。この成果は,American Chemical Society(米化学会)発行の学会誌「Journal of the American Chemical Society」に,速報として「Superconductivity in an inorganic Electride 12CaO・7Al2O3:e−」との題で掲載された。

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C12A7の結晶構造:立方体が単位結晶格子,その中の12個の籠のうち2個に酸素イオンが入っている
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C12A7エレクトライド単結晶/薄膜における抵抗率の温度および外部磁場依存性
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C12A7エレクトライド単結晶の温度に対する帯磁率変化
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