日本無線と東京工業大学 安藤・廣川研究室は,従来方式に比べ周波数利用効率が2倍という新しい通信方式として,偏波分割複信(PDD:polarization division duplex)方式を採用した無線通信システムを開発,実証実験に成功したと発表した(発表資料)。同一周波数帯域の通信容量を,時分割多重(time division duplex)方式や周波数分割多重(frequency division duplex)方式といった従来方式と比較して,およそ2倍にできるという。

 PDD方式は,偏波の独立性を利用して送受信で同じ周波数帯域を繰り返し利用するもので,直交する2本の偏波を同時刻,同一周波数で送受信できる。しかし,PDD方式ではこれまで,出力の大きな送信信号が自局の微弱な受信信号に回り込み干渉を与えてしまうことが課題だった。これに対し今回,東工大が導波管平面アンテナを,日本無線が干渉キャンセラ技術を開発し,これらを組み合わせることで干渉信号の電力を100dB以下にまで低減できたとしている。

 この研究は,2004年より,総務省の「戦略的情報通信研究開発推進制度(Strategic Information and Communication R&D Promotion Programme:SCOPE)」による委託研究として行ったもの。この成果は,2007年6月14日に開催される第3回SCOPE 成果発表会にて発表される。

PDD方式の無線通信装置外観
PDD方式の無線通信装置外観
[画像のクリックで拡大表示]