東芝が発表した新型HD DVDレコーダー「RD-A300」。外形寸法は,430mm×98mm×376mm。
東芝が発表した新型HD DVDレコーダー「RD-A300」。外形寸法は,430mm×98mm×376mm。
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執行役上席常務 デジタルメディアネットワーク社 社長の藤井美英氏。
執行役上席常務 デジタルメディアネットワーク社 社長の藤井美英氏。
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RD-A300の裏側。HDTV映像の出力端子は,HDM1端子が1系統,D1/D2/D3/D4端子が1系統,D-VHSへのダイビング向けにi.LINK端子を1系統持つ。
RD-A300の裏側。HDTV映像の出力端子は,HDM1端子が1系統,D1/D2/D3/D4端子が1系統,D-VHSへのダイビング向けにi.LINK端子を1系統持つ。
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 東芝は2007年6月12日,HD DVD記録機能を備えるHDDレコーダーである「HD DVD ヴァルディア(VARDIA)」の2機種を2007年6月末から販売することを発表した。HDDの記憶容量が600Gバイトの「RD-A600」と300Gバイトの「RD-A300」がある。実売価格はRD-A600が20万円を切る程度,RD-A300が15万円程度となる見込みで,2機種の合計で月産1万台を計画する。

 今回の機種は,約17Mビット/秒の地上デジタル・ハイビジョン放送をRD-A600で約78時間,RD-A300で約39時間録画できる。ハイビジョン放送の画質モード(TS)で記録できるDVDメディアはHD DVD-RとHD DVD-R DLのみである。標準画質であれば,DVD-RAM/-RW/-Rに記録できる。

 HDTV映像の出力端子は,HDMI端子が1系統,D1/D2/D3/D4端子が1系統,従来のHDDレコーダーであるRDシリーズやD-VHSとの連携向けにi.LINK端子を1系統備える。外形寸法は,430mm×98mm×376mm。重さはRD-A600で7.6kg,RD-A300で6.8kgである。

 RD-A600とRD-A300は,これまで販売してきたDVD搭載のHDDレコーダー「ヴァルディア」シリーズの最上位機種としての位置付けとなる。これまで同社では,初のHD DVD記録機能を持たせた機種として2006年7月に「RD-A1」を発売しているが,今回の機能はこの普及機となる。RD-A1ではDVD機能を備えたHDDレコーダー「RDシリーズ」のシステムと既存のHD DVDプレーヤーのシステムを組み合わせて作動させていた。そのため,2つのシステムは互いに通信し合いながらデータを処理する必要があった。今回発表したRD-A600とRD-A300は,詳細は明らかにしなかったが,新開発の「VARDIAエンジン」を採用することで,これまで別々だったシステムを統合したという。

 このほか,RD-A1では映像回路用に海外の半導体メーカー製のLSIを採用していたが,今回の製品では日本製LSIも採用しているという(Tech-On!関連記事)。

 今回発売する機種は,39万8000円と高価格だったRD-A1に比べて価格を半減し,現行のDVD搭載HDDレコーダーの「RD-S600」や「RD-S300」と比べても価格を約3~8万円高に抑えた。この要因として,VARDIAエンジンによりシステムを統合したことや,DVDドライブの価格が低下したこと,筐体などを低コスト化したことなどを挙げた。

 同社 執行役上席常務 デジタルメディアネットワーク社 社長の藤井美英氏は「RD-A1は技術者が満足するようなメモリアル的な製品として開発したが,今回の製品は普及させるために価格を重視した」と語った。そして今後のHD DVDの日本での戦略として「HD DVDドライブとして次世代DVD市場で70%のシェアを獲りたい」(同氏)といい,苦戦を伝えられるHD DVDの普及に意欲を示した(Tech-On!関連記事)。

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