富士通と東北大,ミリ波を利用する撮像素子用の超低雑音・高利得アンプICを開発
富士通と東北大学は,94GHz帯のミリ波を利用する撮像素子(ミリ波撮像素子)に向けたアンプICを開発した(発表資料)。InP HEMTを使ってアンプ回路を構成する。撮像素子からの信号受信器での画像取得時間を,従来比で約1/10に短縮できるという。ITSやセキュリティー,医療用途への応用を想定する。富士通らは新開発のアンプを用いて,94GHzのミリ波撮像素子を試作し,画像の取得に成功した。今後,この技術を適用して,2010年をメドに製品化を目指す。
ミリ波撮像素子は,物体が放射する熱雑音に含まれるミリ波信号を受信して物体の画像情報を得る。ミリ波信号は微弱なため,アンプ回路には低雑音と高い増幅率が求められる。しかし,従来の技術では,増幅率を高めると回路の動作が不安定になるという課題があった。信号増幅に使う従来のカスコード増幅回路には,安定化のため抵抗が組み入れられていたが,これが雑音の原因になっていた。また,高い増幅率のアンプ回路では,半導体基板内を伝播する不要電波により,最悪の場合発振してしまうという問題があった。
今回は,カスコード増幅回路のトランジスタ間を接続している配線の長さを最適化し,低雑音と安定化の両立を図った。さらに,チップ内部に抵抗層を導入した。これにより,不要電波を除去する。
今回開発したアンプの雑音指数は3.2dB,増幅率は33dB。これは,ミリ波撮像素子の受信性能に換算すると,画像取得時間を従来の約1/10に短縮できるものと試算している。
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