米iSuppli社による「Apple TV」のコスト分析
米iSuppli社による「Apple TV」のコスト分析
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 米iSuppli Corp.によれば,米Apple Inc.社は「Apple TV」で,1台あたりの利益よりも出荷台数の伸びを狙っているという(発表資料)。Apple TVの価格は299米ドル。iSuppli社が予測したApple TVの1台あたりの部品および製造コストは237米ドルである。粗利益率は20.7%。Apple社の携帯型音楽プレーヤー「iPod」の粗利益率は40~50%で,それと同程度にしようとすると,Apple TVの価格は十分ではないという。同社が分析したApple TVのコストは,ケーブルや包装,マーケティング費といった費用を含んでおらず,実際のApple TV1台当たりの粗利益率は20.7%以下になる。
 
 このことから,iSuppli社は「Apple社はApple TVの普及率を拡大する戦略をとっており,1台あたりの利益を考慮するこれまでのアプローチとは異なる」と分析する。

 Apple TVのマイクロプロセサは,米Intel Corp.の「Pentium M」。動作周波数は1GHz,90nm世代の製品。iSuppli社が予測するこの部品のコストは40米ドルで,もしIntel社の「Core Duo」や「Core Solo」といった最先端の製品を搭載していれば,Apple TVの部品・製造コストは販売価格を上回ってしまうという。Pentium Mの採用がApple TVの部品・製造コストを抑えている。チップ・セットにはIntel社の「945G」を搭載。マイクロプロセサとチップ・セットを合わせたコストは約68ドルで,Apple TVの部品コストの中で最も大きな割合を占める。グラフィック処理LSIは米NVIDIA Corp.の「GeForce Go 7300」で,予想コストは約15米ドルである。

 iSuppli社は,Apple TVの出荷台数を2007年は約100万台,2008年は140万台と予測する。