地上波デジタル放送のコピー制御方式の見直しで,放送事業者側が1種類の方式による運用を強く要望していることが分かった。2007年1月31日に行われた文化庁長官の諮問機関である文化審議会 著作権分科会が開催する私的録音録画小委員会の第4回会合で,放送事業者サイドの代表として参加している委員から「放送局としては番組ごとに方式を変える運用は技術的に難しいと申し上げている」といった内容の発言があった。

 地上波デジタル放送のコピー制御方式の見直しは,総務大臣の諮問機関である情報通信審議会が開催する「デジタル・コンテンツの流通の促進等に関する検討委員会」が行っている。同委員会は4月18日に行われた第14回会合で,「デジタル放送チューナーとHDD録画機一体型の端末コピーワンスの番組を受信した場合に,回数限定で1世代のみコピー可」とする方針を示していた(日経エレクトロニクス2007年4月9日号の掲載記事Tech-On!関連記事)。

 その後,同検討委員会は,放送事業者と機器メーカーの代表が参加するワーキング・グループを作り,機器の仕様や制限コピー回数といった具体的な運用に向けた技術的な検討を非公開で進めている。特に制限コピー回数に関しては第14回の会合の終盤に,映画関係者からは「1回」,実演家の関係者からは「3回」と意見が出されるなど,権利者の間でも数字が食い違ったほか,消費者団体の関係者からは「十分な回数であることを強く望む」といった意見が出されるなど,検討委員会では意見の一致を見いだせなかった部分である。

 こうした背景があったため,映画関係者からは第14回の会合で,「番組ジャンル別に回数を変える運用も可能か,ということも含めて検討してはどうか」といった提案も出されていた。また,それまでの会議でNHKの関係者から「教育テレビの番組に関してはEPNでの放送も検討したい」という発言があり,こうした柔軟な運用が可能かどうか,注目されていた。