韓国Seoul Semiconductor Co., Ltd.製の白色発光ダイオード(LED)が日亜化学工業の国内特許を侵害するとして,日亜化学工業がSeoul Semiconductor社の日本法人などを提訴したことに関し,Seoul Semiconductor社は「日亜化学工業と争う意思はない」とのリリースを発表した(発表資料Tech-On!関連記事)。

 Seoul Semiconductor社によれば,今回の訴訟の対象になっている白色LED「Z-Power LED P9」は,日本向けには米Cree,Inc.製の青色LEDチップを使っているという。Cree社と日亜化学工業は青色LEDチップなど,GaN系LEDに関してクロスライセンス契約を締結しており,Z-Power LED P9に搭載するCree社のチップは日亜化学工業の特許侵害には当たらないと主張する。

 ただし,Seoul Semiconductor社が日本向けに出荷した670個のZ-Power LED P9の中に,Cree社ではなく米SemiLEDs Corp.製の青色LEDチップを使った製品が「何らかの手違いによって70個紛れ込んでいた」(Seoul Semiconductor社の日本法人であるジャパンソウル半導体)。これが原因になって,日亜化学工業が提訴に踏み切ったのではないかというのが,Seoul Semiconductor社の見解である。SemiLEDs社のチップ搭載品が国内に入った経緯などについて,Seoul Semiconductor社はさらに調査を進める予定という。

 Seoul Semiconductor社によれば,2007年4月に同社製品の代理店である協栄産業に対し,日亜化学工業から特許侵害に関する警告書が届いたという。その後Seoul Semiconductor社は,日本向け白色LEDに搭載する青色LEDチップが特許侵害に当たるかどうかをCree社に確認し,特許侵害に当たらないとの回答を得ていたとする。