日立製作所が2007年3月期(2006年度)の連結決算を発表した。売上高は前年同期比8%増の10兆2479億円,営業利益は同29%減の1825億円で増収減益だった。減益には,薄型テレビやDVDレコーダーなどの価格下落(3180億円),原材料費の高騰(930億円),原子力発電所におけるタービン損傷の補修費用や海外火力発電プラント建設の追加費用(700億円)などが大きく影響した。

 部門別の売上高では,金融サービス以外のすべての部門で前年に比べて増加した。伸び率が最も高かったのがデジタルメディア・民生機器部門で,前年同期比115%増の1兆5060億円を達成した。増収には,2006年4月に日立空調システムと日立ホーム・アンド・ライフ・ソリューションが合併し,日立アプライアンスが発足して同部門に区分されたこと,薄型テレビやDVDカメラ,高付加価値機種の白物家電の販売が堅調だったことなどが貢献した。

 一方で,デジタルメディア・民生機器部門は利益面での足かせになっている。販売こそ好調だった薄型テレビやDVDレコーダーの価格が下落した上,ルームエアコンの販売が不振だった。前期に引き続き,全部門で唯一の赤字を計上。同部門の営業損失は,前年同期に比べて63%増の584億円となった。

 営業利益ではこのほか,原子力発電所におけるタービン損傷の影響を受けた電力・産業システム部門が前年同期比61%の減少(営業利益363億円),金融サービスも同33%減(同235億円)だった。電子デバイス部門が同124%増(同457億円),高機能材料部門が同20%増(同1323億円),物流およびサービス部門は同4%増(同202億円)だったものの,全体としては減益となった。

 なお,2008年3月期の連結決算は,売上高が前年同期比2%増の10兆5000億円,営業利益が同59%増の2900億円を見込んでいる。

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