総務省による周波数の割り当て案
総務省による周波数の割り当て案
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 総務省は2007年5月15日,「広帯域移動無線アクセスシステム」に向けた2.5GHz帯の無線周波数の事業者への免許方針案を公表し,パブリック・コメントの募集を始めた(発表資料)。同案では,無線局免許を取得できる通信事業者から,第3世代携帯電話サービスを提供する通信事業者とその子会社を排除するものになっている。具体的には,イー・モバイル,KDDI,NTTドコモ,ソフトバンクモバイルとそれらの役員が1/3以上の議決権を持つ関連会社は,免許付与の対象外となる。同案がこのまま決まれば,例えば韓国や米国で始まりつつある携帯電話とWiMAXを利用したデータ通信の融合サービスは,日本では非常に困難になる可能性がでてきた。

 2.5GHz帯の無線周波数は,モバイルWiMAXや米QUALCOMM Inc.が策定を主導するIEEE802.20,またはCDMA2000 1xEV-DO Revision C,ウィルコムの次世代PHSなど広帯域のチャネルで移動通信を実現できる無線仕様に向けて確保された周波数帯である。今回の案で,総務省は具体的な周波数の事業者への割り当て方法を提案した。

 同案では,(1)2.535G~2.63GHzの周波数帯からガードバンドを除いた80MHz分を全国規模での移動通信用と,市町村単位で固定通信用の2種類に分ける,(2)移動通信用は30MHzの周波数チャネルを1チャネルずつ2事業者に割り当てる,ことなどを定めている。

 その上で,無線基地局を設置できる通信事業者の資格は,移動通信および固定通信のいずれにおいても,第3世代携帯電話サービスを提供する通信事業者でないこととしている。そうした会社の役員などが1/3以上の議決権を持つ別会社も資格がないことから,子会社も事実上排除する規定になっている。

 総務省は携帯電話事業者を排除した理由として「携帯電話サービスと広帯域移動無線アクセス・サービス間の競争の促進と,新規事業者の参入の促進を図るため」(同省総合通信基盤局電波部基幹通信課)を挙げた。

 パブリック・コメントは6月15日までの1カ月間募集する。