アイシン精機のフェムト秒レーザ,ドイツCarl Zeiss Meditec社の近視矯正手術装置に採用へ
フェムト(10-15)秒台の間隔で光パルスを発生する「フェムト秒レーザ」。これまでは主に,試料に当てて極限現象を起こさせるなどの先端研究に使われてきた特殊なレーザだった。このレーザを利用した微細加工が,いよいよ身近な機器への応用段階に入ってきた。ドイツCarl Zeiss Meditec AGは,アイシン精機製のフェムト秒レーザを搭載したLASIK(近視矯正)手術装置を2007年後半に発売する(図1)。
フェムト秒レーザの大きな特徴は,パルス幅が極めて短いため,試料を熱によって焦がしたり変形させたりする可能性が低いこと。パルス幅がナノ秒台であるYAG(yttrium-aluminum-garnet)レーザなどを使った熱加工とは一線を画す。焦点位置を制御することで,試料の表面を傷つけずに内部のみを加工できる特徴も備える。
Carl Zeiss Meditec社は,こうしたフェムト秒レーザの特長を生かし,眼の角膜表面を数100μmの厚みで薄くはがすという,LASIK手術の第1段階の処置に利用した。従来この処置には,「マイクロケラトーム」と呼ぶカンナのような器具を用いていた。これをフェムト秒レーザに置き換えることで,角膜に対する物理的な接触がなくなり感染症の心配が低減することや,はがす角膜の厚みの精度が向上するなどの利点が生まれるという。何より,熱を加えずに加工できることが,眼の手術への応用を可能にしたわけだ。
アイシン精機が開発するフェムト秒レーザは,光ファイバ内でパルスを発生させる,いわゆるファイバ・レーザである(図2,図3)。「フェムト秒の固体レーザは世の中に幾つか存在するが,ファイバ・レーザは我々の技術が突出しており,主要な特許も多数保有している」(アイシン精機の子会社でレーザを開発する米IMRA America,Inc. PRESIDENTの大光敬史氏)。ファイバ・レーザは,光ファイバ部を巻いて小さくできるなどの特徴があり,装置への組み込みに有利とする。
アイシン精機は今回,レーザの高出力化を図ったことで,高速な微細加工にもフェムト秒レーザを利用できるようにした。応用先を模索していたところに,Carl Zeiss Meditec社から引き合いが来たわけだ。医療向けを手始めに,今後は半導体製造装置などにも採用される予定という。













