住友電気工業は,自動車用ブレーキ事業を2007年10月1日付でアイシン精機に譲渡する。住友電工とアイシン,トヨタ自動車,デンソーは2001年に自動車用ブレーキの開発と販売を手掛ける合弁会社アドヴィックスを設立。製造に関しては両社それぞれで行ってきたが,今後はアイシンが一手に担い,住友電工は手を引くかたちだ。

 住友電工の自動車用ブレーキ事業は,2007年3月期に売上高500億円を計上している。従業員は,国内3拠点に1000人とタイ工場に100人で合計1100人。同事業の資産や人員はまず,アイシンが80%,住友電工が20%出資して設立する新会社に移管・移籍する。その後,新会社は解散して最終的にはアイシン本体に自動車用ブレーキの生産事業を集約する。

 なお,2007年4月に一部新聞紙面で,トヨタ自動車がアイシンに自動車用ブレーキ事業を集約する意向であり,住友電工が保有するアドヴィックスの株式をアイシンが買い取ると報じられたが,現時点では住友電工はアドヴィックス株を20%保有しており「売却の予定はない」(住友電工 広報)とする。

 住友電工は2007年4月1日に,産業機械用ブレーキ事業を三陽商事に譲渡したばかり。今回の譲渡により,1963年から続いたブレーキ事業のほとんどを手放すことになる。鉄道用など,子会社が運営している残りのブレーキ事業の今後については「現時点で発表すべきことはない」(住友電工 広報)としている。