住友化学チタン工業は,無機酸化物微粒子の共同開発の可能性を検討することで合意した。

 住友化学は,蛍光体などに用いる高純度のアルミナ(Al2O3)や,チップ抵抗器や自動車のプラグなどに使う低ソーダ質のアルミナをはじめとする無機材料を扱っている。一方,チタン工業の主力製品は,特殊顔料やトナーなどに使う二酸化チタン(TiO2)や酸化鉄(FeO)だ。

 両社は今後,住友化学がアルミナ事業で培った析出・焼成技術と,チタン工業の持つ表面処理・分散技術を組み合わせて,分散性に優れた無機酸化物微粒子の合成を目指す。具体的には,トナー添加剤用の無機酸化物,IC基板や積層部品用のセラミックス,アルミナを用いた樹脂充てん材などの開発について検討する予定だ。

チタン工業から住友化学へ光触媒事業を譲渡

 また,チタン工業は光触媒酸化チタン事業を住友化学に譲渡する。

 酸化チタンは,光が当たると化学反応を起こして周囲の有機物を酸化分解するため,消臭や抗菌などの分野で応用が進んでいる。酸化チタンを用いた光触媒には,大別して太陽光を利用する紫外光応答型と蛍光灯などの光を使う可視光応答型の2つがあり,チタン工業では紫外光応答型を扱ってきた。今後の事業継続には可視光応答型の開発や生産能力増強といった設備投資が必要になっていたため,事業の選択と集中を進める中で売却に踏み切ったという。

 譲渡先の住友化学では2003年から可視光応答型の光触媒を手掛けてきており,今回の買収で屋内用と屋外用を揃えた事業展開が可能になる。譲渡期日は2007年5月18日,譲渡価額は1700万円を予定している。