信越化学工業は,社内の「ヒヤリハット」事例を,従業員へのアンケート調査で集めて社内外に公表した(発表資料)。ヒヤリハットは安全対策用語で,ヒヤリとしたりハッとしたりするような危険な状況のことだ。信越化学では,2007年3月20日に直江津工場(新潟県上越市)で爆発・火災事故が発生したばかり(Tech-On!関連記事)。事故原因は現在調査中だが,現場に潜む小さな危険について安全対策を進める狙いで,緊急社内調査を実施した。

 調査は2007年3月29日~4月16日,直江津工場,武生工場(福井県越前市),群馬事業所(群馬県安中市),鹿島工場(茨城県神栖市)の4工場の従業員を対象に行った。アンケート回収率は94%を超え,回答総数は3780件に上る。こうして集まった従業員の回答に対し,関係部署で改善策を協議決定したものを資料としてまとめている。具体的には例えば「メガネの上に保護メガネがしづらいため,ついするのを忘れる」との回答に対して「ゴーグルを支給する」などの改善策を示した。

 なお,直江津工場は爆発の起きたメチルセルロース製造プラント「MC-II」を現在も現場保全しており,それ以外の製造設備については操業再開に向けた準備を進めている段階だ。病院に搬送された負傷者17人はその後,11人が退院し,6人が入院加療中という。


爆発の起きた直江津工場「MC-II」(写真:信越化学工業)

《訂正とお詫び》
記事掲載当初,武生工場の所在地を福井県武生市としていましたが,武生市は2005年10月に今立町と合併し,現在は名称が越前市となっています。お詫びして訂正します。記事本文は既に訂正済みです。