Entertainment&Device部門のPresidentであるRobert J. Bach氏
Entertainment&Device部門のPresidentであるRobert J. Bach氏
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 米Microsoft Corp.が2007年5月1~3日に米国ラスベガスで開催しているMobile & Embedded Devcon 2007(MEDC 2007)の基調講演に,同社Entertainment&Device部門のPresidentであるRobert J. Bach氏が登壇した。Bach氏は「Connected Experience」という表現で,デジタル機器の変化を示した。「携帯電話機,携帯音楽プレーヤ,セットトップ・ボックス,家庭用ゲーム機,…。こうした機器はすべて,ネットワーク接続機能を備えるようになった」。その結果として,デジタル機器におけるソフトウエア開発がよりパソコンにおけるそれと似てきていることを指摘。「デジタル機器に適したプラットフォーム,開発ツール,サービスの三つの階層をすべてカバーすることが重要だ」と語った。

 「5年前,Windows Mobileを採用した携帯電話機は1機種,販売するネットワーク・オペレータは1社しかなかった。それが今では,120機器,125社がWindows Mobile採用機を扱っている。Windows Mobileは機器の形状や画面サイズなどの制約がなく,自由にカスタマイズできるからだ」(Bach氏)と,好調ぶりをアピールした。またWindows Mobileに新たに採用する「.NET Compact Framework 3.5」を発表。SQLに似た構文をプログラム中に記述できる「LINQ」や,Windows Mobile機器間で通信するための仕組みとして,WCF(Windows Communication Framework)を採用する。

 また前日に発表した「Silverlight」。Silverlightではベクター・グラフィックスを採用するため,「組み込み用途でもPC用のコンテンツをそのまま表示できる」点を強調していた。

 こうした開発はすべて,.NET Frameworkをベースにした環境で統一している点が,Microsoft社の強みだという。その中核に位置する開発ツールが「Visual Studio」である。次期版にあたる「Orcas」(開発コード名)では,新たにユニット・テストのための仕組みを標準装備する。

 サービス連携という点では,Webサービスによって機器間を接続する「サービス指向機器(Service Oriented Devices)」というコンセプトを提示した。これまで機器がそれぞれサービスを提示することによって制御を可能にするというのが基本的な考え方だ。具体的には「.NET Micro Framework」を組み込んだコントローラなどをデモし,家庭の中心に位置するホーム・サーバーから制御したり,リモコンを使った制御などを実施して見せた。