代表取締役社長の中村氏
代表取締役社長の中村氏
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 NTTドコモは,2007年3月期(2006年4月~2007年3月)の業績を発表した。売上高は対前年同期比0.5%増の4兆7881億円,営業利益は同7.1%減の7735億円と,「増収減益」となった。

 減益の理由として,端末販売数が増加したことによる営業費用が同813億円増加したことを挙げた。「端末販売数が増加し,FOMA販売比率が上昇したことで,収益連動経費が735億円増加したため」(NTTドコモ 代表取締役社長の中村維夫氏)と理由を説明した。

「ドコモは高いというイメージ払拭できず」


 NTTドコモは2006年10月から始まった携帯電話番号ポータビリティ(MNP)により,純増シェアでKDDIやソフトバンクモバイルの後塵を拝してきた。しかし2007年に入り純増シェアは挽回しつつあり,「回復トレンドに入った」(NTTドコモの中村氏)と位置づける。ただし,MNPへの総括としては「我々は約63万契約を減らした。決して,いい結果ではない。なんとなくドコモは高いというイメージを払拭できなかった」(NTTドコモの中村氏)とする。解約率は2006年度下期で0.95%となった。2006年度通期では0.78%となり,2005年度通期の0.77%とほぼ同等レベルを維持した。「2006年下期の解約率は1%を予想していたが,実際には0.95%にとどまった。MNPによる影響は小幅である」(NTTドコモの中村氏)としている。

 FOMA契約数は2006年度末に3500万契約を突破するなど,順調に移行が進んでいると位置づけた。「2007年度末には,4440万契約となる見込み。契約全体の8割以上がFOMAになる」(NTTドコモの中村氏)。減少が続いているARPU(1契約当たりの月間平均収入)に関しては,パケットARPUの拡大に伴って低減幅が着実に縮小しているという。総合ARPUは2006年度が同3.8%の減少だったが,2007年度は2.6%の減少になるとする。「iチャネル」および「メロディコール」の契約数が1000万を超えたことも,データARPUの底上げにつながったと分析する。

 1台当たりのインセンティブに関しては,現状3万7000円程度だが,それが2007年には1000円~2000円低下すると予測する。また端末調達価格も1000円程度低下するとの見込みを示した。

「もう日本だけの時代じゃない」


 今後のサービスの方向性としては,「定額制の充実」,「生活アシスト」,「国際サービス」の三つをキーワードとして挙げた。例えば定額制では,パケ・ホーダイの契約数が2007年5月に1000万契約を突破するなど,1年間で2倍に増加した。また国際サービスでは国際ローミング対応機種の普及に伴い,国際サービス収入が2005年度の250億円から2006年度の340億円に増加した。韓国やグアム/サイパンの事業者への出資の成果も期待する。「もう日本の中だけでやっている状況ではない。アジアにどう展開するかなど,もっと海外のことをいろいろ考えないといけない」(NTTドコモの中村氏)と,新たな成長市場への取り組みを強める必要性を繰り返し強調した。

 なお2008年3月期の業績見込みについては,売上高が同1.3%減の4兆7280億円,営業利益が同0.8%増の7800億円としている。設備投資額に関しては,FOMA基地局への投資が減ることから,同1840億円減の7500億円を見込む。

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