2007年度の業績見通しを発表する社長の益子修氏(左)。右は常務取締役の市川秀氏。
2007年度の業績見通しを発表する社長の益子修氏(左)。右は常務取締役の市川秀氏。
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 三菱自動車は,営業利益,経常利益,純利益ともに黒字化を達成した2006年度(2006年4月~2007年3月)の連結決算を発表した。全損益項目がそろって黒字となるのは,2002年度以来4年ぶりのことだ。

 売上高は,前年度比3.9%増の2兆2028億6900万円,営業利益は前年度の約6倍となる402億3700万円だった。また,経常利益は前年度から約363億円改善して185億4200万円,純利益は前年度から約1009億円改善して87億4500万円と,いずれも黒字を達成した。三菱自動車は,三菱重工業の傘下となった2005年1月に新経営計画「三菱自動車再生計画」を発表,その中で2006年度の黒字化を目標として掲げていたが,この目標を無事に達成したことになる。

 2006年度の自動車販売台数は123万2000台。前年度と比べると11万2000台少なかった。にも関わらず売上高が増えた理由として,高価格帯の車種が2006年度は比較的売れたこと,日本からの完成車輸出に関しては増えていることなどを挙げた。また,これらに加えて収益が改善した理由としては,為替の好転とコスト低減活動の効果が大きかった。

 三菱自動車は,2006年度の決算と共に,2007年度の業績見通しを公表した。売上高は2兆4300億円(対前年度比10.3%増),営業利益は510億円(同26.9%増),経常利益は300億円(同62.2%増),純利益は200億円(同130%増)に達するとの見通しを示した。また,販売台数は132万3000台(同7.4%増)を見込む。

 2007年度は,三菱自動車再生計画の最後の年として,「黒字体質の定着化を狙う年」(社長の益子修氏)と位置付けている。これを達成するために,日本,北米,欧州,アジア・その他の全地域での販売台数増を計画している。日本で2005年10月に発売,米国においても2006年11月に発売した「アウトランダー」や,日本で2007年1月に発売した「デリカD:5」などのグローバル戦略車の売り上げが好調に推移しており,「水島工場や岡崎工場,関連会社のパジェロ製造での生産が,受注に追いつかない状態」(益子氏)。さらには,日本では2007年秋に「ギャラン フォルティス」と「ランサー エボリューション X」を,米国では2007年度後半に「ランサー エボリューション」を販売するなど,各地域にて新型車を投入することで,好調な販売の勢いを維持する。

 また,日本国内では連結販売会社を統合することによる業務の効率化,北米では主力車種・主要市場への集中した広告宣伝活動,欧米ではロシアやウクライナなど成長市場での一層の拡販など,各地域に適した事業計画を立案。販売費の増大や為替差による損失などの影響が考えられるものの,このような計画により黒字体質を築いていく。

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