2008年度の営業利益1000億円に「自信がある」と永守社長
 日本電産の2006年度(2006年4月~2007年3月)決算は,売上高が前年度比17.3%増の6296億6700万円,営業利益は同19.8%増の640億900万円と好調だった。主力のハード・ディスク装置(HDD)用モータや光ディスク装置など向けのDCモータ,マイクロプロセサ冷却などに使うファン・モータがいずれも過去最高の売り上げを達成した。HDD用モータの市場シェアは2007年1月~3月期で77%程度にまで高まっているという。

 代表取締役社長の永守重信氏は,一部子会社の状況が思わしくないとして,好決算にあえて「問題点」を挙げた。問題点は,日本電産サンキョーの第10世代液晶ガラス搬送ロボットの納入が延期になったこと(Tech-On!関連記事1),日本電産コパルの利益率が上がらなかったこと,日本電産トーソクの自動車部品事業が2007年1月~3月期に失速したことという。コパルの利益率低迷については大量受注による生産ラインの混乱などによるものと説明する。トーソクの失速については「ニッサン(日産自動車)の影響を受けた。今後は脱ニッサンがテーマ。2007年度下期には非ニッサン向けの事業が立ち上がる」とした。

車載用モータでもシェア1位に

 日本電産は2008年度に営業利益1000億円を,2010年度に売上高1兆円を目指す中期経営計画を立てている。2010年度にはモータ事業の売上比率を全社売上高の70%まで高める考えで,計画達成の成否はモータ事業にかかっている。中でも車載用モータやブラシレスDCモータを成長分野と位置づけて注力していく考えだ。

 同社は2006年12月,フランスValeo社の車載用モータ・アクチュエータ事業を買収して同事業に本格参入している(Tech-On!関連記事2)。現在,同事業の生産はドイツやスペインの拠点が中心となっているが,これを今後,ポーランドや中国,メキシコに移管して収益性の改善を図る。具体的には,2008年度にドイツやスペインでの生産比率を現在の75%から50%程度まで引き下げて同事業の営業利益率を10%に乗せる計画だ。さらに「市場シェアで1位をとって事業を優位に進めるのが当社の戦略。車載用モータ市場に関しては,競合メーカーをもう1社か2社,買収して首位をとる」(永守氏)という戦略を披露した。

買収効果は下期から

 2007年度の業績見通しは,売上高7200億円(前年度比14.3%増),営業利益750億円(同17.2%増),純利益450億円(同12.7%増)とする。2006年度に買収した日本サーボ(Tech-On!関連記事3)やフジソク,Valeo社のモータ・アクチュエータ事業,シンガポールBrilliant Manufacturing Ltd.は,2007年度の上期は再編費用や在庫評価損などで減益要因になるが,下期からは収益に貢献しはじめるとみている。

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