エルピーダメモリの好業績が続いている。同社は2006年度(2006年4月~2007年3月)の連結決算を発表した(決算概要および説明会資料)。売上高は対前年度比102.9%増の4900億3900万円だった。営業利益は前年度の1億4400万円から大幅に伸び,684億2000万円となった。直近の2006年度第4四半期(2007年1月~3月)については,DRAM価格の下落などにより営業利益が前四半期(2006年10月~12月)比で45.2%減の149億円になった。台湾Powerchip Semiconductor Corp.(PSC)からの製品購入分について,価格が急落したことで当初見込んでいた一定の利益が得られなかったことなどが主な要因とする。

 量産を開始した70nm世代品のDRAMについては,2007年4月から特に大幅な増産を始めたとする。既に,「70nm世代品のコストは90nm世代品のコストとほぼ同じか安いくらい」(同社の代表取締役 坂本幸雄氏)とする。歩留まりは90nm世代品の立ち上げ10ヶ月分相当にまで高まっているという。70nm世代品への移行の前倒しを予定している。同社は,現時点では1Gビット品が6米ドルであっても利益は出るとしているが,「70nm世代によって1Gビット品が4~5米ドルでも利益が出る体制をできるだけ早く整える」(同社 坂本氏)のが狙いだ。

 70nm世代品への移行や増産体制を整えるための2007年度の設備投資は約1300億円とする。70nm世代品の月産枚数は,2007年3月には1万1000枚だった。2007年6月には2万3000枚に,同年9月には4万3000枚に,同年12月には6万枚に増やす予定である。2007年1月25日の段階では,月産枚数をそれぞれ1万5000枚,2万枚,2万枚と予定していたが,生産能力の増強を早める。70nm世代品は主に携帯機器やデジタル家電などに向けるとしており,2007年第3四半期頃から投入するという。

 エルピーダメモリの坂本氏は2007年度の業績について,「年間別の世界でのDRAM売上高の推移を見ると,今年は2月に売上高が落ち込むなど,ここ数年の平均とは大きく異なっているが2003年のトレンドとは似ている。2003年のように5月,6月に売上高が伸びるかどうかは分からないが,伸びれば良い業績になるのではないかと思う」とした。2007年3月からデジタル・カメラなどを中心として携帯機器向けの売り上げが大幅に伸びているという。2007年6月以降には,台湾のパソコン・メーカーによるパソコン生産量が増加することなどにより,DRAM需要が回復すると見込む。

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