Soundpaper技術対応のプリンター(左)とリーダー(右)の3次元画像
Soundpaper技術対応のプリンター(左)とリーダー(右)の3次元画像
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 米サンディエゴ市で開催された「O'Reilly Emerging Technology Conference 2007」(ETech)で,米LTT LLCは,紙に印刷したバーコード状のパターンで音声を保存する「Soundpaper」と呼ぶ技術を報告した。同社のPresident and FounderであるKen Berkun氏は,「Soundpaperを使うと19.35mm2の面積に,8000バイトの音声情報を印刷できる。これは他の同様な技術と比べて優れている」と主張する。現在,印刷した写真や薬瓶のラベルに人の声を加える用途を検討しているという。「高齢者などにとって,薬瓶に書いている説明が読みにくい場合がある。薬の飲み方を間違えると,病状が悪化するかもしれない。我々の技術を使えば,薬瓶のラベルに音声の説明を加えて分かりやすくできる」(Berkun氏)。なおBerkun氏は,マルチメディア検索技術を手掛ける米Singingfish社の設立者の一人で,同社は米AOL LLCに買収された。

 Soundpaperは,パソコン上で動作するソフトウエアで音声を符号化し,バーコードに似たパターンにして印刷する。このパターンから音声データを読みとるためには,専用のリーダーを用いる。現在はいずれも試作版で,「高級な紙」(Berkun氏)にサーマル・プリンターで印刷したパターンから,人間の声を高品質で再生できるという。「将来はインクジェット・プリンターでも印刷できるようにしたい」(Berkun氏)。Soundpaper技術の大きな特徴は,印刷したパターンをリーダーでなぞるだけで,音声の再現に必要な全てのデータを認識できることという。同社は,Soundpaperに関連する四つの米国特許を申請中である。今後の狙いの一つは,カメラ付き携帯電話機にリーダーなどの機能を搭載することという。そのために,ソフトウエアをDSP上に移植し,低価格のレンズを使った場合でもバーコードを認識可能にする予定である。

 なお,オリンパスは音声を印刷可能にする技術「ScanTalk(スキャントーク)」をかつて製品化していたが(発表資料),2001年11月に製造を中止し,2007年3月末で販売を終了している(発表資料)。