各種ヘルスケア機器をつなぐ通信プロトコル
各種ヘルスケア機器をつなぐ通信プロトコル
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今回実演した試作機の接続例
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健康情報管理サービスでの利用を想定
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自分の運動の強度をテレビで確認
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 三菱電機エンジニアリング,シチズン・システムズ,シャープ,タニタ,日立製作所の5社は,異なるメーカーの家庭用ヘルスケア機器を,相互に接続して情報をやりとりするための通信プロトコルを開発した(発表資料)。この通信プロトコルを用い,実際の家庭における実用化試験に成功した。5社は,同プロトコルを一般に公開しており,家庭用ヘルスケア機器の通信手法として,業界標準を目指す。

物理層には依存しない


 5社は,NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の助成事業「ホームヘルスケアのための高性能健康測定機器開発」に加わっていたプロジェクト・メンバー企業で,2003年から通信プロトコルなどの開発を進めてきた。今回,100世帯を対象としたフィールド試験を通じて通信プロトコルの修正が済み,仕様が確立したことから公式に発表したもの。

 通信プロトコルは,血圧計や体重計,血糖値計といったヘルスケア機器と,家庭のゲートウエイ装置を相互に接続する際などに利用する。OSI参照モデルのネットワーク/トランスポート層より上位の層を規定したもので,物理層には依存しない。伝送媒体としては,有線と無線の両方を想定する。このほか通信プロトコルの機能には,各種の機器のデータを互いに紹介できる「紹介通知機能」や,新しい機器がネットワークに加わった際に通知する「機器登録通知機能」などがある。

 5社の狙いは,通信プロトコルを統一することで,個人の健康管理サービスに向けたヘルスケア機器の市場を立ち上げることにある。2008年春に予定される健康保険法の改正など,今後メタボリック・シンドロームの対策に向けた健康管理ビジネスが本格的に動き出すとみられている。それら健康管理サービスでは,歩数計や血圧計,体脂肪計など各種のヘルスケア機器の情報をネットワーク経由で取得する必要があり,メーカーを問わず通信できる手法の必要性が指摘されていた。
 
説明会の会場では,Bluetoothや特定小電力無線の送受信機能を備える血圧計や体組成計,運動能力計などを実際にネットワーク接続し,異なるメーカーの機器同士が,連係動作できることをアピールした。伝送するデータに関しては,心電図の連続波形データのようなデータ量の大きいものもサポートできるという。

開発した通信プロトコルは,現在JIS規格とするべく日本工業標準調査会専門委員会で審議中であり,2007年夏ごろにJIS規格として制定される見込みだ。さらに国際標準化に向けてIEEE11073の「Personal Health WG」に提案しているという。