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TDK,「量産品として高い磁気特性」を備えるNd系磁石を開発

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2007/04/11 20:00
根津 禎=日経エレクトロニクス
図1 「NEOREC55シリーズ」
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図2 「NEOREC55シリーズ」の保磁力と残留磁束密度
図2 「NEOREC55シリーズ」の保磁力と残留磁束密度
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 TDKは,磁気特性の指標の一つである最大エネルギー積を同社従来品の「NEOREC53シリーズ」に比べて約5%高めたNd-Fe-B(ネオジム・鉄・ホウ素)系(いわゆるNd系)磁石「NEOREC55シリーズ」を開発した(図1,発表資料)。例えば,保磁力の高い品種「NEOREC50H」の最大エネルギー積は1420±20mTである(図2)。既に研究開発品ならば今回の製品より最大エネルギー積が高いものがあるものの,「VCMや光ヘッドに向けた量産品としては最も高い値と考えている」(TDK)という。現在サンプル出荷中で,2007年4月下旬から月産5トンで量産を開始する。主にHDDに用いるVCM(voice coil motor)や,光ヘッドなどに向ける。

 最大エネルギー積が大きいほど,VCMや光ヘッドなどで用いるモータの小型化や軽量化につながる。また同じ体積の磁石でVCMを作製すれば,トルクが向上し,HDDのシーク時間の短縮につながるという。

 着磁の自由度を高めたことも特徴とする。着磁とは,焼結後の磁化がない状態から磁界を与えて磁化し,永久磁石にすることである。着磁しやすくなったため,光ヘッドで用いる磁石で求められる,小型でかつ複数のN極やS極を設けるような複雑な着磁パターンを形成する場合にも対応しやすくなると説明する。また,「ニュートラルゾーン」と呼ばれる,N極とS極が切り替わる部分を狭めやすくなった。このニュートラルゾーンが狭いほど,VCMのトルクを高めやすく,かつ光ヘッドやVCMの位置決め精度を高めやすいという。

材料の組成と製造工程を見直し


 今回の製品を実現できたのは,磁石材料の組成を変更したり,製造工程の改良を施したりしたため。組成に関しては従来と同じく材料にはNd,Fe,Bを用いているものの,組成の割合を変更したという。ただし詳細は明らかにしていない。

 製造工程に関しては,例えば磁石の焼結前に行う磁石成形で採用する「乾式法」を変更した。同社は従来,磁石材料を粉砕して細かくした粉体を型に入れた後,磁場を加えてから加圧して成形し,焼結していた。今回,磁石材料を粉砕した後,新たに磁石材料を改質する工程を加えたことで,各粉体が動きやすくなった。そのため磁場をかけた場合,各粉体が磁化されやすい方向(磁化容易軸)を同じ向きに揃えやすくなり,磁気特性を高めることにつながった。乾式法のほか,液体を利用した「湿式法」もある。湿式法の方が粉体を動きやすくするものの,製造コストがかかるため,乾式法を利用したという。

 また,Ndは酸化しやすく,酸化すると磁石としての特性を実現するのは困難になるので,酸素濃度の低い状態で製造する必要がある。この酸素濃度の状態も,今回の磁石に合わせて調整したという。

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