東芝(当時)が1980年代に製造・販売した電気式衣類乾燥機6機種について,東芝コンシューママーケティングは計15万台をリコールすると発表した(ニュース・リリース)。累計の発煙・発火事故は,これまでに計243件に達するという。
 
 対象機種のうち「ED-D602」「ED-D302」の2機種は今回初めてリコールするもの。この2機種がリコールに至ったきっかけは,2007年2月9日にED-D602が発火事故を起こしたことである。

 東芝はこの2機種について,1993年の時点で「発煙・発火の恐れがある」と販売店に通知し,自主点検していた。本体前面の操作パネル内にあるリレー端子のはんだ付け部に,はんだの量が極めて少ないものが混入しており,まれに接触不良を起こして発熱し,発火・発煙に至るという。実際,自主点検の告知から現在に至るまでに,59件の事故を起こしていた。リコールの対象台数は約7万8千台。点検の進捗率は52.3%に留まる。

 加えて東芝コンシューママーケティングは,発火・発煙の恐れで1990年にリコールした電気乾燥機「ED-D300」「ED-D600」「ED-D604N」「HD-339NA」についても,再度リコールを告知する。これらの機器は1986年から1988年にかけて製造・販売したもの。電源回路基板にあるリード線のハンダ付け部が配線処理不良により発熱し,発煙・発火に至るという。1990年のリコールまで28件の事故が発生していた。

 だが,リコール後も事故は止まらず,現在に至るまでに156件の発煙・発火事故を起こした。この事故の中には,2件の家屋全焼事故,1件の半焼事故が含まれる(このうち,火事の原因が乾燥機と特定できたのは全焼事故の1件)。いずれも人的被害はなかった。

 リコールの対象台数は,ED-D300,ED-D600,ED-D604Nが計7万1千台。点検・修理の進捗率は91.5%である。日本電気ホームエレクトロニクス(現NEC)からの製造委託品であるHD-339NAの対象台数は2000台で,進捗率は67.5%である。