セイコーエプソンが米国において提訴していた同社プリンタ用インク・カートリッジの特許侵害訴訟で,米ITC(International Trade Commission:国際貿易委員会)は同社の主張の正当性を全面的に認め,特許侵害品に対する総括的排除命令(General Exclusion Order)の仮決定を下した(発表資料)。同社は2006年2月17日に,同社の保有する11件の特許を侵害しているとして,同社の米子会社2社と共に24社を訴えていた。仮決定は,この特許11件すべての有効性を認め,被告24社は特許侵害により米国関税法337条に違反しているとして,総括的排除命令により特許侵害品(セイコーエプソン製プリンタ用の互換インク・カートリッジ)の輸入差し止め,販売禁止をうたっている。

 今回の仮決定はITCの行政判事(ALJ)が下したもの。今後,ITCがこれを支持する「最終決定」を下した場合には,総括的排除命令にのっとり,当訴訟の被告24社製品だけではなくすべての特許侵害品が米国から排除される。この仮決定を受け,ITCは2007年7月30日までに最終決定を下す予定。最終決定は,米国大統領の確認を経て「正式決定」となる。

 今回の被告24社のうち,18社とは既にエプソンの主張に沿う形で何らかの解決が図られており,うち7社とは和解が成立している。一方,中国Ninestar Image Co., Ltd.をはじめとする残りの6社とはITCの公判を通じ現在まで争っていた。この6社を含む,まだ和解に達していない17社に対して,同社は引き続き,オレゴン州連邦地方裁判所において損害賠償などを求めていく考え。和解済み7社,係争中6社以外は,3社が侵害品販売を禁止する同意命令を受けており,8社が係争権利を放棄している。