携帯電話機向け動画コンテンツの世界市場の売上高予測
携帯電話機向け動画コンテンツの世界市場の売上高予測
[画像のクリックで拡大表示]

 米iSuppli Corp.によれば,携帯電話事業者は音声通信のARPU(1契約当たりの月間平均収入)の下落に伴う収益の減少を,有料のマルチメディア・コンテンツを提供することによって埋め合わせようとしているという(発表資料)。世界の13の主要な携帯電話事業者の2006年における音声通信のARPUは,平均して5%減少したとする。そして,ARPUは2007年以降もさらに減少すると予測する。このため携帯電話事業者は音楽や動画,ゲーム配信などの有料サービスに力を入れており,純粋な通信事業者からコンテンツ配信事業者へ変化を遂げつつあると同社は分析する。2006年における世界の携帯端末向け有料コンテンツ市場の売上高は,前年比22%増の164億米ドルだった。

 着信音や1曲丸ごとのダウンロード,音楽のストリーミングなどを含む音楽コンテンツ市場は,携帯電話機向けコンテンツの市場の中で最も大きな市場である。2006年の音楽コンテンツ市場の売上高は,前年と比べてほぼ2倍の71億米ドルとなった。携帯電話事業者とコンテンツ・プロバイダーに加え,音楽レーベルもこの状況から利益を上げている。主要な音楽レーベルは,2006年に携帯電話機向けのコンテンツ市場で10億米ドル近くを売り上げたという。

 世界の携帯電話機向け音楽コンテンツの売上高は,2006年から年平均19.8%で成長し,2011年に176億米ドルを見込む。中でも,携帯電話機のブロードバンド接続による1曲丸ごとのダウンロードは,2011年に音楽コンテンツ市場の中で最も大きな市場となり,57億ドルに達すると分析する。

 一方,モバイル・テレビや動画ストリーミング,ダウンロードといった動画コンテンツ市場は,発展の初期段階だが今後の可能性が大きいという。世界のモバイル・テレビ加入者は2006年の320万人から,2011年には1億3000万人に達する見通しだ。2006年の動画コンテンツ市場の売上高は10億米ドル。これが年平均76.7%で成長し,2011年には音楽コンテンツ市場とほぼ同額の176億米ドルまで拡大するという。