写真1 届いたApple TVを開梱したところ
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写真2 言語の選択からネットワーク設定まで
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写真3 Apple TVを認識し,パスコードを入力して登録
写真3 Apple TVを認識し,パスコードを入力して登録
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写真4 音楽コンテンツを選択し,聴いているところ
写真4 音楽コンテンツを選択し,聴いているところ
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 2007年3月22日に正式に出荷が発表されたApple TV。日経エレクトロニクスでは出たばかりの本製品を早速入手し,実際に動かしてみた。入手したのはApple TV本体と,HDMIケーブルの組み合わせ。化粧箱から中身を取り出すと,2枚貝のように開く箱が現れる(写真1)。左に本体,右にリモコン(Apple Remote)が入っている。本体の下には電源ケーブルとマニュアルが収められている。

 Apple TVを使うには,HDMI端子またはコンポーネント・ビデオ/オーディオ入力(コンポジット入力端子ではないことに注意)を備えたテレビが必要。そこで弊社内に唯一存在するHDMI対応テレビの場所までApple TVを持って行き,動かした。

 最初に出てくるのは使用言語の選択である(写真2)。続いてすぐに,ネットワーク接続の指定が出てくる。Apple TVのネットワーク接続は10BASE-T/100BASE-TXのEthernetまたはIEEE 802.11b/g/n対応の無線LANである。EthernetケーブルがApple TVに挿入されていると,自動的に有線接続であると認識する。逆に有線の接続がなければ,自動的に無線LANのアクセス・ポイントを探しにいく。ここで接続するアクセス・ポイントを指定する。一般に無線LANでは,何らかのセキュリティ設定が施されているので,そのための入力も求められる。選択肢は「WEPパスワード」「WEP 40/128ビット16進」「WEP 40/128ビットASCII」と少々わかりにくいが,いずれもWEPキーの入力である。マニュアルにも特に説明はなく,通常はWEPパスワードを選択すればよさそうだ。パスワードはソフトウエア・キーボードを使って入力する。この際,パスワードはマスクされないので,設定時には周囲に気を配る必要がある。

 ただ残念ながら,見つけたアクセス・ポイントと設置場所では3フロア離れているため,信号強度が低くてすぐに切断されてしまった。結局はDHCPでIPアドレスの取得ができればよいのだろうと,手近なところでブロードバンド・ルーターを探すが見つからない。そこで(1)Windows XPのインターネット共有サービスを使う,(2)社内ネットワークのDHCPサーバーを利用する,という二つの手だてを考えた。まず(1)を実践するが,なぜか共有接続に使っていたパソコンの調子が悪化。いくつかアプリケーション・ソフトウエアを立ち上げたまま使ったせいか,動作が不安定になってうまくつながらない。そこで(2)を試すが,今度はパソコンのiTunes側にApple TVの存在が反映されない。念のため,同じネットワークにつながったiMacからも試してみたが,やはり反応は変わらない。

 しかたがないので,(1)をもう一度試してみたら,今度はうまく接続できた。つまるところ,Apple TVが想定しているネットワーク規模が,家庭用など小規模なネットワークであるため,社内ネットワークでDHCPサーバーが配布するような大きなクラスのIPアドレスには対応していないのではないかと推察される。

 一度見えるようになれば話は簡単で,まずApple TV側で「ソース」メニューを選択し,「iTunesに接続」を指定する。こうすると,Apple TVには5ケタの数字によるパスコードが表示される。このとき,パソコンのiTunesに「デバイス」という表示が出てきて,そこにApple TVが登場する。これをクリックすると,同じパスコードを入力する画面が出てくる(写真3)。入力するとそのパソコンのiTunesにあるコンテンツをApple TVで視聴できるようになる(写真4)。

 使ってみて,今ひとつユーザー層が見えないような気がするものの,何か新しいライフスタイルを開拓する可能性はあるという印象を受けた。リビング・ルームで動画を見るのに,いちいちパソコンを立ち上げる必要がない,というのは魅力となる。Apple TVはスイッチなどなく,電源コードをつなげば電源は入りっぱなしだ。こうすることで,今まで死蔵してきた動画コンテンツを見る機会を増やし,リビング・ルームにいるときはBGV的にApple TVを使って動画を流すように,ライフスタイルが変わるかもしれない。

 またiTunes経由で購入した動画だけでなく,家庭で撮影した動画をApple TVに入れておけば,これまで死蔵してきたコンテンツを見る機会はグっと増えるだろう。HDDレコーダーでも似たようなことは可能だが,基本的に撮った内容をそのまま保存するしかない。Apple TVなら,パソコンを経由することである程度編集したものを保存できる可能性が高まる。もっとも,パソコンで編集するというユーザーがどれくらい存在するかには疑問がある。