JEITA会長の秋草直之氏
 電子情報技術産業協会(JEITA)は,電子情報産業の世界生産額について調査結果をまとめた。これによれば,2005年実績は184兆円で,うち44兆円が日系企業の生産額(海外での生産分も含む)だという。2006年は,世界生産額196兆円のうち46兆円を日系企業が占める見込みだ。

 世界生産額に占める日系企業の割合が大きいのは,AV機器と電子部品。2006年の見込み額をみると,AV機器で特に日系企業の生産シェアが高いのはデジタル・カメラやビデオ・カメラなどの「撮像機器」で,86%となっている。カーナビや車載テレビなどの「カーAVC機器」に占めるシェアも61%と高い。

 一方で日系メーカーの生産比率が低いのが携帯電話機やパソコン。携帯電話機は16%,パソコンは8%にとどまっている。JEITA会長の秋草直之氏(富士通 代表取締役会長)は「携帯電話機は日本独自の高機能モデルの開発が進んでおり,海外への展開はこれから。パソコンは日用品になっているので,本体の生産額を云々するより,顧客へのサービスや企業向けコンサルティングの充実を図る新しいビジネスを考える時期に来ている」との見解を示した。


日系企業の電子情報産業の生産額(2006年見込み,単位:百億円,カッコ内は世界生産額に占める割合)。「コンピュータ」に含まれるのはサーバやパソコン,情報端末など。「その他の電子機器」はX線装置などの電子応用装置や電機計測器など。「ディスプレイ・デバイス」は液晶モジュールやPDPモジュール,電子管。「IT」はSI開発やソフトウエアなど。

 調査は,各国の政府統計や工業会資料,業界誌,主要企業のプレス・リリースやヒアリングなどの情報をまとめたもの。国内市場や国内生産額に関する統計を中心に公表してきたJEITAとしては初めての試みだ。