米Beceem Communications Inc.は,三洋電機がCDMAとモバイルWiMAX(IEEE802.16e-2005)のデュアルモード携帯電話機の開発用にBeceem社のモバイルWiMAX向けチップセット「BCS200」を採用したと発表した。

 BCS200は,ベースバンドLSI,RFトランシーバLSI,およびモデム用ソフトウエアからなる。WiMAX Forumが策定したサービス用仕様「Certification Wave 2」に対応した最初の製品で,韓国Samsung Electronics Co.,Ltd.が採用を決めたばかり(関連記事)。Wave 2は,MIMOやビームフォーミング機能,DVB-Hなどから仕様を流用した放送型サービスの機能「Multicast and Broadcast Service(MBS)」などを規定している。

携帯電話とのデュアルモードは韓国が先陣

 モバイルWiMAXは2007年末にもサービスが世界規模で始まり,それに向けて無線端末メーカーがこぞってモバイルWiMAXの端末や基地局を開発中である。すでに先陣を切っている韓国では韓国KT社が韓国版モバイルWiMAX「WiBro」のサービス・エリアを2007年4月にソウル市全域に拡大する。さらに2007年5月にはKTF社と共同で第3世代携帯電話の高速データ通信サービス「W-CDMA HSDPA」とのデュアル・モード端末を利用した「iPlug Premium」サービスを開始する。

 KT社とKTF社は2007年末には,「WiBro II」と呼ぶ現在の伝送速度を2倍にしたサービスも開始する。WiBro IIは下りが最大34.6Mビット/秒,上りが同8Mビット/秒と高速で,KT社およびKTF社は都市部はWiBro IIで,郊外はHSDPAといったすみ分けを図りながら面的なサービスを展開する計画である。

 米国では米Sprint Nextel Corp.が2007年末にWave 2仕様のモバイルWiMAXのサービスを開始し,2008年末には全米の約1億人の居住地域をカバーする計画である。台湾では,政府計画「M-Taiwan Program」の下で2007年6月に事業用免許が通信事業者に発行される。日本でも2007年夏には免許が発行され,サービス事業者が決まる見通しである。