日経エレクトロニクスの調査によると,欧州連合(EU)の欧州委員会は,EUへのデジタル・カメラの輸入に対し,新たに4.9%の関税の賦課を検討中であることが明らかになった。

 「現段階で得ている情報によれば,EU当局は2007年4月18日もしくは同19日に結論を出し,早ければ2007年6月~7月にも賦課が開始される見通しである」。国内大手カメラ・メーカーが加盟するカメラ映像機器工業会(CIPA)で,この問題の対策チームを率いる業務委員会国際作業部会部会長の薬師寺朗氏は,こう話す。「これは業界を揺るがす大問題だ」(カメラ・メーカー幹部)。

 デジタル・カメラは,世界貿易機関(WTO)が採択したITA(Information Technology Agreement:情報技術協定)の対象品目になっている。ITAは,IT関連製品の市場拡大を促進するため,加盟国間での関税廃止を約束したもの。2000年1月から日米欧など主要国・地域間で関税は撤廃された。

 ところが,欧州委員会は最近のコンパクト・タイプのデジタル・カメラが標準で持つ「動画撮影機能」に着目し,「動画撮影機能を持つ以上,製品分類としてはビデオ・カメラと同じ。ビデオ・カメラと同等の4.9%の関税を課すべきだ」と主張しているという。

 EUの関税賦課がカメラ業界に与える影響は大きい。27カ国が加盟するEUを含む欧州は現在,デジタル・カメラの世界最大の市場である。CIPAによると,2006年にCIPAの会員各社が欧州向けに出荷したコンパクト・タイプのデジタル・カメラに対する関税総額は,最大で230億円と試算される。さらに,「EU当局は施行日から3年さかのぼって徴収する方針である。そのため,施行前の分だけで関税総額は最大690億円に上る」(薬師寺氏)という。

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詳細は日経エレクトロニクス誌2007年3月26日号をご覧下さい。