米サンノゼのCisco Systems社
米サンノゼのCisco Systems社
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米サンタ・クララのWebEx Communications社の本社。Cisco社との距離は,数kmである。
米サンタ・クララのWebEx Communications社の本社。Cisco社との距離は,数kmである。
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すでにWebEx社の一部のオフィスはCisco社の隣にある。
すでにWebEx社の一部のオフィスはCisco社の隣にある。
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 米Cisco Systems,Inc.と,WebEx Communications, Inc.は米国時間の2007年3月15日,Cisco社がWebEx社を32億米ドルで買収することで合意したと発表した。WebEx社は,「Webカンファレンス」とも呼ぶWWWブラウザを用いたビデオ会議用ソフトウエアの大手メーカー。Cisco社は買収の目的を「中小企業向けのユニファイド・コミュニケーションの促進」(同社)にあるとしている。買収手続きの完了は,Cisco社の会計年度の第4四半期になる予定である。

家庭や中小企業にターゲット

 企業向けのIPルータで市場を支配するCisco社は,1990年代に貪欲な企業買収で成長してきた会社である。最近は,消費者や中小企業向けの通信機器市場への参入を目指しており,2003年6月に中小企業や個人向け無線LAN機器などのメーカーだった米Linksys Group, Inc.を5億米ドルで,また2006年2月にケーブルテレビ向けセットトップ・ボックス(STB)メーカー大手の米Scientific Atlanta社を70億米ドルで買収している。

 WebEx社は,Skypeが登場するまでは,WWWブラウザを利用した,もっとも簡単にIP電話やIPビデオ会議などができる環境を提供する会社だった。Cisco社がWebEx社を買収する狙いには,家電製品や携帯端末にIP電話やビデオの通信環境を浸透させることがあると推測できる。

Cisco社のChief Development Officerで,Linksys社のPresidentでもあるCharlie Giancarlo氏は同氏のブログの中で「現在盛んになっている個人のソーシャル・ネットワーキングがビジネスの分野で実現すればその効果は大きい。WebExはそれを実現する有力な手段になる」と買収の動機を説明している。