図1 ワンセグとおサイフケータイが連動
図1 ワンセグとおサイフケータイが連動
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図2 広告を自動Push蓄積
図2 広告を自動Push蓄積
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 日本テレビ放送網は,同社のデジタル放送や事業展開に向けた技術展「デジテク2007」(イベント紹介のページ)の中で,地上デジタル放送やワンセグを利用した携帯電話機に向けた新たな展開を紹介した。

 目玉の一つは,NTTドコモと共同開発した「ワンセグクーポン配信サービス(仮称:ワンセグinfo)」である(図1,図2)。通信では困難だった携帯端末へのコンテンツの自動蓄積を,ワンセグのデータ放送を利用して実現するサービスである。例えば,視聴者は,電子クーポンなどを簡単に手に入れられる。

 用途として,以下の形態を想定している。ユーザーは,日本テレビのワンセグを視聴していると,ボタンを押すなどの操作をしなくても,自動的にクーポンなどの情報を携帯端末に蓄積する。NTTドコモがおサイフ・ケータイの機能として提供しているトルカ対応端末では,店舗でFeliCaのリーダ/ライター装置にかざすと,クーポンを利用できる。トルカの非対応端末の場合は,クーポンを表示した画面を店員に見せるといった使い方になる。いったん携帯電話機に取り込んだクーポンなどは,メールや赤外線通信などを使って友人などとやり取りできる。配布の可否や枚数,利用できる期間などは,放送局で制御できる。「モバイル決済機能とテレビ広告との連携を世界で初めて実現するもの」と位置づける。

注)トルカは,クーポン券などこれまでは店頭で紙媒体として配布されていたカードなどを携帯電話機に取り込むことができるサービス。取得した情報は端末内のフォルダに格納され,携帯電話機上で簡単に検索やソートなどができる。

 固定受信向けに配信した電子チラシを携帯電話機に転送するというデモも実演した。手法は二つ用意した。NTTドコモの音響OFDMを利用するものと,FeliCa機能を利用するものである。音響OFDMはNTTドコモが開発した技術で,地上デジタル放送の音声信号の中に,URLなどのテキスト・データを多重できる。テレビのスピーカーが発する音声から,埋め込まれた情報を音響OFDM対応の携帯電話機で認識する。

 FeliCaを利用するタイプでは,FeliCa機能に対応したテレビを利用する。例えば,VODサービスを利用したときにFeliCaで利用料を決済できるテレビの登場などを想定する。このときに,データ放送で伝送された電子チラシをFeliCaの通信機能を使って携帯電話機に転送しようというものである。

 さらには,電子看板(デジタル・サイネージ)と携帯電話機を組み合わせた取り組みも紹介した。電子看板の脇に設置したFeliCaのリーダ/ライター装置に携帯電話機をかざすと,例えばワンセグクーポン配信サービスなどでレストランへの道順が看板に示されるといった使い方ができる。逆の使い方も可能で,電子看板に日本テレビの関連イベント情報を表示できるようにしておき,その情報が表示されている間に携帯電話機をFeliCaのリーダ/ライター装置にかざすと,クーポンなどを携帯電話機に伝送できる。